専業主婦は昭和のレガシーに

日本では戦後からこれまで、夫が働き妻は専業主婦で子供が2人という家庭をモデルケースとしてきましたが、もはやこの形態は一般的と言えないことはプレジデントウーマン読者の皆さんが強く実感しているはずです。女性活躍社会と言われますが、専業主婦という概念はもう昭和のレガシーになりつつあり、男性も女性も関係なく仕事を持って、子供も必然ではなく、あるいは独身を貫く生き方だって全く普通のことになっている。こうした社会通念の大きな変化はもう所与のことと認識すべきで、政府も社会保障コストを担う現役世代を増やすことを目指して、少なくとも70歳まで仕事を続けることを勧奨しています。

その証拠に、公的年金の受給開始年齢を70歳まで繰り下げることによって、以降の年金受給額は生涯にわたって42%アップする制度があり、今後政府はこの仕組みを75歳まで拡大する意向があるようです。健康に努め、70歳以上まで現役として仕事を持ち収入を得続けることで、年金受給開始をその分繰り下げる選択をすれば、年金2000万円不足などの大騒ぎは自ら解決できるのです。もちろんそのためには、年齢を重ねても仕事を続けられるようビジネスパーソンとしてのスキルを磨き、市場価値を高めておくことが必要です。要するに世代間を問わず、いくつになっても学び続け、自分自身を経済活動の担い手として進歩・成長を継続させていく努力が欠かせないわけです。

おじさん社会から機会平等社会へ

こうした生き方の常識が大転換するのは、戦後日本社会に脈々と続いた年功序列のヒエラルキーが瓦解がかいするということです。40代からは管理職とか実務は若い人たちに任せて、などとのんべんだらりしていたおじさん社会から、世代も男女も問わず能力ある人材がいつまでも活躍できる、機会が平等となる社会が到来するはずです。プレジデントウーマン読者の皆さんにとっては念願の時代が始まるのだ、と前向きに捉え喜ぶべきでありましょう。

加えて、長寿化が進むこれからの社会を生き抜くために、資産寿命も長期化させる。それがこのコラムでずっと皆さんにお伝えしてきた長期資産形成の実践です。公的年金をベースとした公助に、長期資産形成という自助を付加させることにより、自身が納得できる豊かな人生創りを自ら構築していく。これこそが、国が面倒をみてくれるのが当たり前とされた20世紀戦後昭和の常識から、自助自律の社会という21世紀令和時代の新常識への大転換なのです。