スキマ時間にスマホで翻訳の副業

海外のエンターテインメントの代理店でエージェントとして働く宮下りかさん。通勤中やお風呂タイムなどにスマホを駆使して、マッチングサイト「ココナラ」で翻訳の副業を受注している。バイリンガルの宮下さんだが、意外にも翻訳には苦手意識があり、本業に生かす勉強の目的で副業を始めた。

(左)ニューヨーク育ちで演劇や映画が大好きだという宮下りかさん。副業を始めたことで人生の引き出しが増え、未来が開けたと話す。(右)「グラマリー」、英英辞書などのアプリを使い添削し、メモ機能で翻訳の文章を作成する。

「海外のアーティストと日本のクライアントとの交渉や契約時にコミュニケーションを図るのには不自由しないんです。でも、今まで英語をきちんとした日本語に訳す訓練をしたことがないので、仕事で翻訳を頼まれるとプレッシャーがありました。翻訳を学ぶ学校に通うことも考えましたが、そこでお金と時間をかけるより、翻訳の副業をすれば実践的なスキルを磨けるし、収入源にもなるなと思ったのです」

英訳、日本語訳のどちらも受注し、コストパフォーマンスと速さを売りにするため、英訳なら100単語、日本語訳なら200字を「ワンコイン(500円)で24時間以内に返信」と設定。開始した2年前より翻訳の精度もスピードも上がったため、18年に、単価を上げ、現在は月4万円程度の収入に。企業と個人からの依頼が半々で、リピーターも多い。必要とされることで自信がついたと話す。

「企業からはサイトやアプリ、プレスリリースの翻訳の依頼が多いです。『こんな雰囲気のキャッチコピーにしたいけれどどう思いますか?』などというような質問にはネーティブならではのアドバイスができるので好評です。個人からは海外の占い師に相談したいから英訳して、とか、ゲーマー同士の会話を英語でやりたい、という要望もあります。他業界の仕事のスタイルや、世の中にあるさまざまなニーズを知る機会にもなり、とても勉強になります」

中野貴利人(なかの・きりと)
副業プランナー
1981年生まれ。大学卒業後にJTB情報システムに入社。会社員として働く中、個人でウェブメディアを立ち上げ、26歳で法人化。副業情報サイト「フクポン」を運営。共著に、『ど素人でも稼げるネット副業の本』(翔泳社)。

イラスト=星野ちいこ

森 きわこ