日本は化粧品も安い

先進国では総じて量も値段も倍近いと考えてもよいほどランチの値段は変わります。一つの理由として、物価だけではなくランチは空いている時間を利用してお店を知ってもらうために安く提供しようという日本的な概念がないことも挙げられます。海外では昼も夜もアラカルトメニューは全て同じ値段で営業をしている店舗も多いからです。

さすがに日本人の私も4年以上海外に住んでいるとこの価格にも慣れてきて、日本に帰ると特にランチ代が著しく安く感じてしまうのです。日本に帰って何をしたいかというと、毎日安くておいしいランチを食べ尽くしたいという気分になります。また、ドラッグストアの化粧品もかなり安いので爆買いをしてしまいます。中華系は抜け目がないので、「日本ではブランド品が安い。ドラッグストアの化粧品も安くていい。食べ物が安くて美味しい」と旅行に来て消費をしていくわけです。1本1000円もする飲む美容液をお土産に頼まれたこともあります。ただ、シンガポールの高級エステサロンでは3Dパックなどが1枚4000円くらいで売られていることもあるので1000円など安く感じるのかもしれません。1000円代で30シートも入っているドラッグストアのパックは言うまでもありません。

資産運用で将来の購買力を維持しよう

このように、日本では今のところ、低負担で高福祉が受けられる、物価も安いという点において世界と比べて見ると日本人、もしくは日本社会に溶け込める人にとっては明らかに住みやすい国だと言えます。ただし外国人にとっては、一定レベル以上の不動産は高い、交通費も高い、英語が通じないなど長期で生活をするには不便も多い国。とりあえず観光で来るのであれば楽しめるのでしょう。

しかし、今後は少子高齢化がますます進み、財政も更に悪化していくことが予測されます。そうなると、負担も増え、給付も削られ、現在と同程度の水準で暮らしていくのが難しくなるかもしれません。賢い女性は今のうちから将来に備えて資産運用をするなどで将来の購買力を維持できるよう努力をすることが大切です。仕事などで外国に出るチャンスがあれば、そのチャンスを積極的に引き受け、日本のことを客観的にみるのも良いかもしれません。

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花輪 陽子(はなわ・ようこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年からシンガポールに移住。『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』など著書多数。