現在20歳の人は68歳まで働く必要性
厚生労働省は2019年8月27日、公的年金の長期見通しを試算する財政検証結果を公表しました。経済成長率が最も高いシナリオでも将来の給付水準は今より16%下がり、成長率の横ばいが続くケースでは3割弱も低下するという内容でした。60歳まで働いて65歳で年金をもらう今の高齢者と同水準の年金を現在20歳の人がもらうには68歳まで働く必要があるとの試算も示しました。
少子高齢化によって需給のバランスが崩れていることが原因ですが、そもそも日本の社会保障は高福祉の割に低負担が続いており、制度を維持させるためには負担を諸外国程度に引き上げる必要があるとも言われています。
消費税で比較をしても、税率が低くて有名なシンガポールと同程度なのです。将来的には消費税はヨーロッパと同程度の25%程度まで引き上げられたとしても日本の財政を考えるとおかしくはありません。
また、所得税・住民税負担の国際比較を見ても、イギリス、ドイツ、フランスなどヨーロッパの先進国と比べるとかなり低く、アメリカと同程度です(https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page13.htm)。
社会保障の充実を求めるのなら、ヨーロッパと同じように負担を高くしていかないと財政が釣り合わなくなります。あるいは、アメリカやシンガポールのように、税負担を低くして保障は薄くという自己責任型にするかどちらかでしょう。