国に義務化されなければ休めない日本人
一方で、有休取得に罪悪感を抱く人は、58%の日本を筆頭に、米国でも39%の人が「感じる」と答え、上から4番目に位置している(図表2)。米国は、有休を取得するための権利が法律で保障されておらず、先進国の中でも珍しい部類に入る。有休について、企業の裁量に委ねられているものの、企業風土なども作用するためか、取りにくさを感じている人が相当数に上っていることもうかがえる。
先に触れたが、各国中最低に位置する日本の有休消化率は、20日中、10日の取得で50%。ワースト2位のオーストラリア(70%)とは大きくかけ離れている。昨年成立した働き方改革関連法は長時間労働の抑制に向け、年10日以上の有休が与えられる労働者に対し、年5日以上取得させることを会社に義務付けた。4月から実行に移されているが、働き方改革の旗を振った国が義務化に踏み切らなければ、実効性が担保されないとの点で、他国とは一線を画していると指摘せざるを得ない。
官製有休なら休めるか
日本中がほぼ一斉に休む年末年始やGW、お盆休みなどは堂々と休むものの、旅行や子どもの学校行事などの家族絡み、あるいは自身の体調がすぐれない時に、有休を使いづらい雰囲気を多くの人が感じていると思う。多少の体調不良なら、無理してでも出勤することだろう。休みが集中する結果、新幹線、高速道路、飛行機のラッシュはすっかり恒例行事となり、観光地は軒並み混雑する。有休をうまく活用すれば、避けられるはずだが、周囲を気にするあまり、平日に会社を「欠席」する後ろめたさ。これを打破すべく、政府のお墨付きを得て取得する有休は「官製有休」とでも言えようか。
ちなみに、あまり知られていない話だと思うが、実は米国よりも日本の方が祝日は多いのだ。米連邦政府が定めた全州共通の祝日は10日にとどまっているのに対し、2019年の日本の国民の祝日は、改元の影響で例年より多い17日に上っている。祝日なら休めるのに有休となると尻込みしてしまうのだ。