有休はすべて消化、夏休みは2週間

別のメーカーで働く50代女性も毎年、バカンスは海外で過ごしている。数年に1度、欧州を訪れており、心身ともにリフレッシュ。以前は病院勤務で、なかなか長期休暇は取りにくく、常にストレスをためていた。彼女によれば、転職を日常的に繰り返す米国人は、新たな会社を選ぶ際、休みの取りやすさは重要なポイントになるという。「その点は、日本と多少、状況が異なるのかもしれないね」と漏らす。

「有休は毎年、すべて消化している。労働者の権利だから当然だ。長時間労働とは無縁だし、たまに在宅勤務も入れるので、メリハリをつけて働けている。そして、毎夏のバカンスがご褒美」。金融機関勤務の30代独身女性にとって、日々の仕事に対する発奮材料は、夏のバカンスだという。今年の夏休みは2週間、日本を訪れる予定で「暑さは承知しているが、のんびり過ごしたい」と遠距離移動をものともせず、心躍っている様子だ。

フランス、ドイツは30日を全消化

とはいえ、東海岸の企業に勤務する彼らを取り巻く労働環境は、かなり恵まれており、国土が広い米国では必ずしも一般的とは言い切れない。それを示すデータがある。

米国の大手旅行サイト「エクスペディア」が毎年行っている、世界各国の有給休暇日数を比べたアンケート調査の最新2018年版によれば、米国は与えられた14日間のうち、10日間を消化した。一見多いようにも見えるが、有休消化率は71%と、最低の日本(50%)、2番目のオーストラリア(70%)に次いでワースト3位にとどまっている(図表1)。

世界各国の有休取得日数

消化日数は、いずれも10日間の日本、タイと並んで最下位。与えられた30日のうち、全30日を消化したフランス、ドイツ、スペイン、ブラジルの消化率100%には脱帽の思いしか浮かばない。

調査では、米国人が有休を使わない最大の理由として「長期旅行のために、利用するのを控えているためだ」と分析。「長期旅行は素晴らしいが、休暇と休暇の間隔が開きすぎてしまう。週末や祝日に有休を付けた短期休暇でも、生活の質を高めることが可能だ」と指摘している。つまり、米国の祝日は、独立記念日やクリスマスなど日にちが確定しているものを除くと、月曜日となっているため、例えば金曜を有休に充てれば4連休は確保できるという意味だ。