働くことは幸福度を上げる
3.幸福度
3つめに幸福度から「働く」ことを考えてみましょう。
幸福度を測るアンケートでは、さまざまな視点からの質問がなされるのですが、中でも「失業」に関して、興味深い調査結果があります。
定年退職を含めた「失業」状態では、幸福度は下がるというものです。
興味深いのは、かりに失業前と同等の金銭を受け取っていたとしても、失業後は幸福度が下がるということです。
日本では失業状態になり、一定の要件を満たせば雇用保険からの給付(基本手当)があります。もちろん基本手当は重要な社会保障ではありますが、幸福度の視点で考えると、給付に留まらず、就労支援までが非常に大事であることがみえてきます。
「働く」ことが幸福度を上げ得るのは、マズローの欲求5段階説を前提とすれば、人として当然に持つ欲求を満たすことになるので、ある意味自然なことなのかもしれません。
こうしてみてみると、「働く」こと自体、決してネガティブなことではないことがお分かりいただけるでしょうか。問題は「働き方」なのだと思います。
幸福度の高い働き方とは
幸福度調査では、こんな調査結果もあります。
自営の人は、会社員よりも「働く時間」は長くても、幸福度は高いというものです。自営の人は、自分でやりたいことを行なっていると前提を置くと、働くこと自体にやりがいを感じられ、幸福度につながっていると推測できます。
いま政府主導で「働き方改革」が行われていますが、単に生産性を上げるとか、働く時間を短くすることを目的とするのではなく、本当の意味での働き方改革は、いかに一人ひとりがやりがいを持って働くことを選択できるか、ではないかなと思います。
いずれにしても、人生100年時代が本格化するにつれ、多くの人が「働き方」を真剣に考え、その大きな流れの中で、「働き方」の概念が徐々に変化を迎えれば、これもまた「新・家計」の一面になることでしょう。