便利な言葉はときに乱暴!

3つめは、言葉使い。

「美味しい」も「素敵」も「どうしよう」も「すごい」も。なんでも「ヤバイ」で片付けてしまうPW世代はさすがにいないと思いますが、そのときその場面で、ふさわしい単語を選ぶこと。乱暴にすべてをひとくくりにせず、的確な言葉を美しく使うこともひとつのマナーです。

そのためには日ごろから読書をしたり、話し相手に自分の気持ちがより伝わるよう、語彙力を高める努力が必要です。けれど、言葉は膨大な情報やどこまでも広がる感情をスパッと切り取る鋭利な刃物のようなもの。それを正しく使いこなし、美しく収めることもまた、大人が極めるべきマナーなのです。

その場を楽しむために絶対不可欠なT.P.Oのマナー

最後にお伝えするのは、T.P.Oを守ることの大切さ。

シーンによって、その場その場でふさわしく振舞う姿もまた、美しさそのもの。たとえば大切なプレゼンには信頼感の置けるスーツでキビキビと。仲のいい友だちとのお茶には、着心地のいい極上のニットで気兼ねなく。また、パーティーやイベントにはその時間を華やかに彩るようなドレスで……など、大人と呼ばれる年齢であれば、そろそろある程度の振り幅にも対応できる女性でいたいですよね。

そして、特別なイベントのために服や靴を新しく用意するもいいですが、慌てて着慣れないもので赴くよりも、愛のある手持ちのお気に入りを、予定次第でアレンジするのも美しいあり方のひとつ。せっかくのイベントに集中して楽しむことはとても大切。そのためにも事前にバタバタしないよう、準備の時間から堪能できたら理想です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokouu)

身だしなみ、佇まい、言葉遣い、そしてT.P.O。

マナーとしての美しさは、なんでもない日常の在り方から。普段見えない部分がにじみ出てしまうのもまた、誰も注意してくれない大人のマナーの怖いところです。

写真=iStock.com

乙部 アン(おとべ・あん)
フリーエディター/執筆家

新ファッションウェブマガジン「LIV,」女性ファッション誌のフリーエディターをしながら執筆家としても活動、いくつかの連載を掛け持ちする。アメブロやnoteなどのブログでは、大人の女性に役立つファッション・仕事・サステナブル・ライフスタイル・独自の人生哲学を発信。