「電車の座席では脚を組まない」とか、「電話口では自分から名前を名乗るのよ」とか。当たり前のことほど注意してもらえないのがわれわれ大人。だからこそ、自分で自分を戒めるマナー心(ゴコロ)を大事にしたい。今回は、「それもマナーなの?」と意外に思ってしまいそうな4つのことをお伝えします。
※写真はイメージです(写真=iStock.com/Rattankun Thongbun)

“美しくいること”が大人のマナーである理由

あなたにとって美しいとはどういうことでしょうか? 生まれつきの顔立ち? スタイル? もちろん間違いではありませんが、マナーとしての美しさを考えたとき、それはまず「身だしなみが整っていること」を指します。

いつもと同じメンバーで仕事をしているとつい、緩みがちになる身だしなみですが、身なりを整えることは心を整えることにつながり、また、仕事相手へのリスペクトにもなります。

スーツにシワ、寄っていませんか? 靴のかかと、磨り減っていませんか? ストッキングの足首周りがたるんではいませんか? 朝の忙しい時間にそれらの“ちょっとしたこと”をチェックするのは億劫かもしれませんが、見た目と同時に心が整うぶん、そのあとの仕事の効率が上がります。そもそも、「こんな上司と一緒にいるなんて恥ずかしい」と部下に思われるなんて問題外。

「外見だけで仕事がうまくいったら苦労しないよ」、なんて言っている人ほど、実は身なりの大切さに疎い証拠。細かいところの緩さほど、他人の目には強調して映っています。

“そんなこと”ほど大切にする、ちょっとの習慣

マナーとしての美しさの2つめは、その佇まいにあります。

話を聞いているときの目線、挨拶をするときの手元、会議をしているときの背筋。常に忙しいPW世代です、“そんなこと”になりふりかまわず働く場面もあるでしょうが、ふと余裕ができたときに少しだけ意識してみて。

ほんのちょっとの意識がやがて習慣となり、あなたの立ち居振る舞いとして自然に定着したとき、美しさは無意識のうちにそこにある品格として、醸し出されるものになります。その日々の習慣から成るゆるぎない美しさは、声を大にしなくとも、あなたの意見に信頼感を与え、存在自体が尊重されるように。

美しくあるというマナーは、周りの人のためであり、自分のためにもなるのです。

便利な言葉はときに乱暴!

3つめは、言葉使い。

「美味しい」も「素敵」も「どうしよう」も「すごい」も。なんでも「ヤバイ」で片付けてしまうPW世代はさすがにいないと思いますが、そのときその場面で、ふさわしい単語を選ぶこと。乱暴にすべてをひとくくりにせず、的確な言葉を美しく使うこともひとつのマナーです。

そのためには日ごろから読書をしたり、話し相手に自分の気持ちがより伝わるよう、語彙力を高める努力が必要です。けれど、言葉は膨大な情報やどこまでも広がる感情をスパッと切り取る鋭利な刃物のようなもの。それを正しく使いこなし、美しく収めることもまた、大人が極めるべきマナーなのです。

その場を楽しむために絶対不可欠なT.P.Oのマナー

最後にお伝えするのは、T.P.Oを守ることの大切さ。

シーンによって、その場その場でふさわしく振舞う姿もまた、美しさそのもの。たとえば大切なプレゼンには信頼感の置けるスーツでキビキビと。仲のいい友だちとのお茶には、着心地のいい極上のニットで気兼ねなく。また、パーティーやイベントにはその時間を華やかに彩るようなドレスで……など、大人と呼ばれる年齢であれば、そろそろある程度の振り幅にも対応できる女性でいたいですよね。

そして、特別なイベントのために服や靴を新しく用意するもいいですが、慌てて着慣れないもので赴くよりも、愛のある手持ちのお気に入りを、予定次第でアレンジするのも美しいあり方のひとつ。せっかくのイベントに集中して楽しむことはとても大切。そのためにも事前にバタバタしないよう、準備の時間から堪能できたら理想です。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/kokouu)

身だしなみ、佇まい、言葉遣い、そしてT.P.O。

マナーとしての美しさは、なんでもない日常の在り方から。普段見えない部分がにじみ出てしまうのもまた、誰も注意してくれない大人のマナーの怖いところです。