家庭での男女平等を実現するには

家庭での男女平等が進みにくい背景に、家事の基準のすり合わせは仕事のようにはうまくいかないことがあげられます。また、強制力も会社と比べると弱いです。家の中のことを夫婦で話し合って分担するというのは、疲れますし、面倒くささがあると思います。お互い広い心でやらないと、ケンカをして「もう全部私がやる」と、結局女性が引き受けることになりがちです。夫婦二人で家事のルールを決めて、クオリティをすり合わせて実行する――。会社だと他の人がやってくれる部分もあるかもしれませんが、全部自分達でやる必要があります。

非常に大変な部分ではありますが、仕事も家事育児も、男女がお互いに乗り入れることが重要だと考えています。

無償労働も評価される社会に

現在は、学校での家庭科教育を男女共に受けているので、昔よりも男性は家事の教育を受けているはずです。インターネットでも調べられますし、やろうと思えば男性も女性と同じように家事育児ができるはずなのです。

男性が家事をやりたがらない理由の一つとして「評価されないからモチベーションが保てない」というのがあると思います。無償ですし、頑張ったところで出世するわけでもない。さらに、「やれて当然」などと言われてしまう。

とはいえ、家事や育児をやる男性を評価するようになればいいかというと、それもどうかと思います。女性からすると、「私はやって当たり前なのに」と不公平感が募るでしょう。ですから、男女に関わらず無償労働がもっと評価されるべきなのです。

そして、女性の無償労働が評価されるなら、男性の有償労働も評価すべきですね。長時間労働や転勤を受け入れて、馬車馬のように働かせられて、「男だから当然でしょ」なんて言われたら心が折れてしまいます。

男女とも、無償労働も有償労働も、互いに評価し合えるようになれば、「真の共働き夫婦」に近づくことができるのではないでしょうか。

構成=梶塚美帆 写真=iStock.com