右脳・左脳は科学的な根拠なし
「あなたは、芸術を愛し、ひらめきで物事を進めていくタイプですか(右脳型)? あるいは、常に原因と結果を考え、物事を論理的に理解し規律的に進めていくタイプですか(左脳型)? ただし、リーダーとして成功する人は、どちらかのタイプではなく、右脳・左脳をバランスよく使ってひらめきと論理性両方を備えています。ひらめきと論理的思考、両方を持った成功者になるためには、乳幼児のうちから、右脳を鍛えることが大事です」
……聞き慣れたフレーズですが、信じている人も多いのではないでしょうか。これらは全く真実ではありません。科学的に全く根拠のない、上記のような右脳左脳神話は、いまだ広く世に存在しており、それどころかいまだにそこから多くのビジネスも生まれています。
“右脳信仰”が広まった理由
実際、幼児教育やリーダーシップ論などのカテゴリーの、書籍・ビジネスのうたい文句の中に、「(成功するために)右脳を鍛える」という表現をよく見かけます。その中身といえば、「クリエーティブで人の思いつかないこと、新しい発想を持ってものごとをなすこと」を右脳の役割として打ち出しているものが多いです。
このような右脳信仰が広まった背景には、多くの人が「クリエーティブである」ことに大きな価値を見いだしている事があると考えられます。古代においては、創造性は、神からの贈り物であるとされるほど尊重されていたものであり、現代を生きるわれわれにとっても創造性は非常に魅力的なものです。なんとかそれを手に入れたいと思っているところに、右脳を鍛えればクリエーティブになれるという“希望”、あるいは、クリエーティブな人は右脳の使い方が自分とは違うのだ、という“言い訳”がすんなり浸透したのかもしれません。