年齢を押しつけることは、人をしばること

あまりに年齢にしばられている日本の女性達が気の毒で仕方ありませんでした。そこで年齢にしばられず、自分の人生を生きてほしいという願いを込めて、一冊の本を出そうとしました。

下重暁子『年齢は捨てなさい』(幻冬舎)

題して「くたばれ! 結婚適齢期」。直接的でわかりやすいタイトルだと思っていたら、出版直前になってクレームがつきました。出版社の社長が「下品だ」というのです。私には納得がいきません。年齢にしばられた当時の女性達にとって、直に響く言葉だったと思っていたからです。

編集者と話し合って、結局、違うタイトルにしましたが、ぼやっとしたタイトルに落ち着いたため、本は売れませんでした。「くたばれ! 結婚適齢期」の方が、どんなに強く、衝撃的だったことか。(中略)

「くたばれ! 結婚適齢期」のかわりにつけられたタイトルにはサブタイトルがついており、「自発的適齢期のすすめ」とあります。

そして、帯には「適齢期とはあなた自身のもの、適齢期を自分で選ぶことは自分の人生を自分の手で選ぶことである。人生は、自分が何を選ぶかによって決まる、選択の連続なのだ、その大切な選択をどうして他人に任せておけよう、他人にわずらわされず、自分の意見で選択するためには、様々な既成概念やある種の常識から自由にならなければならない」と書いています。

今私が考えていること、いっていることとほとんど変わらない。昔から私の考え方はブレてはいないのです。(中略)

私が結婚したのは36歳の時でした。だから結果として36歳が私の結婚適齢期。一人ひとり違っていいのです。年齢を押しつけることは、人をしばることなのです。

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