日本に必要なのは「家庭生活の改革」
おじさんたちは、おじさんたちの一存で帰らないわけではありません。個人の働き方の問題だけでなく、家庭の問題でもあるのです。家庭もまた長時間労働という雇用慣行をもとにライフスタイルを学習し、選んできたのです。
だから、働き方改革は「家庭生活の改革」とセットで進める必要があります。むしろこれから改革すべきは暮らし方で、それを変えるほうが、難易度が高いと思います。
企業なら、経営者がトップダウンで働き方改革を指示し、管理層が「まあ仕方ない」と思いながらも施策を立てて実行すれば変わっていきます。家庭はそうはいきません。お父さんが早く帰ってきたら、奥さんからは「どうしたの? 住宅ローン組んでるのよ。やめてよ」と非難されてしまいます。
そうならないように、早めに家庭内に夫の役割をつくっておくことが必要です。ちなみに私の場合、一応家庭に役割があるので、仕事が終われば即刻家に帰ります。家事・育児の負担割合は……そう高くはないですね。妻には本当に申し訳なく思っています。ごめんなさい。いやいや、謝っている場合ではありませんね。家庭の役割分担を見直します。
中原流ワーク・ライフ・バランス
男性の場合、家庭に役割を持とうといっても、「その日にならないと仕事の終わりが見えないから」とあまり気乗りのしない人もいます。そういう事情は仕事をしている女性も同じです。仕事も家事・育児もプロジェクトです。プロジェクトを成功させるためには時間管理、進捗管理は最も重要なポイントでしょう。
私の場合、夫婦で仕事・家事・育児を両立させるために、お互いの予定をまず数カ月単位で見積もり、次に1カ月単位で見積もり、1週間単位で見積もり、1日単位で見積もるといった具合に、長期間から短期間まで複数の時間軸でスケジューリングします。きょうは自分が6時に帰ってご飯を作らなければいけないから大学を5時に出ます。
ウェブの共有カレンダーを使えばスケジューリングは楽そうですが、我が家では使いません。共有カレンダーだと、相手の予定を確認せずに「ここ入れといたぞ」とか、「キミ、僕の予定見ていなかったよね」とか、要らぬイサカイのもとを作ってしまいます。基本は別々の管理にしておいて、コミュニケーションしながら調整するほうが行き違いもなく、うまくいっています。ま、スケジュール調整の瞬間は、緊張が走る一瞬ではありますが(笑)