和が崩れる恐怖を乗り越える

皆さんが管轄する組織、ひいては所属する会社が“存続”している理由は2つ。

① 目的の共有

これは、どんな事業をもって顧客を獲得するのかという意味合いでよいです。われわれのようなコンサルティングなのか、WEBサービスなのか、物販なのか、はたまた野球なのか、という目的を構成するメンバーが認識できている状態。

②外部有益性の発揮

これがつまりは「顧客の獲得」であり売り上げが立っている、利益が出ている、というもの。皆さんの会社が存続しているのは顧客をはじめとした「外部」に「有益性=メリット」が提供されているからですよね。

この2つのみが、組織の存続理由となります。ここに「良好な人間関係の維持」や「和の形成」は含まれません。よって、皆さんが日々恐れている人間関係の不和、そして不和によるパフォーマンス低下に対して生じている恐怖は、まったくもって“不必要”と結論付けられます。

人間関係を論じるヒマなんてない

人間関係の不和は、主に感情によってもたらされる好き嫌いです。好き嫌いは、それぞれの価値感が単に「合わない」ことから生まれています。よって、まずリーダーが行うことは、組織内の価値基準を統合すること、つまりは明確なルール設定とその遵守です。これによって、メンバーが組織基準に合わせるという意識づけが繰り返され、組織内では組織内基準に従う、従った方が動きやすいという状態をつくることができます。

それぞれの価値観をリスペクトするから基準が統合されずに、「合う」「合わない」が生じる。誰に合わせる? のではなくルールに合わせるというリーダーの根気強い反復が重要になってきます。

また、それぞれの役割・責任が明確に規定され「やらねばならない」感覚が醸成されていれば、人間関係を論じる余地が時間的、労力的にミニマイズされます。要は、そんなことしている場合じゃない、ということになるのです。つまり、人間関係がマネジメントテーマとしてよく出てくる組織は、そもそもメンバーの責任=目標がない、あるいはあいまいであることが考えられます。これらを明確に定義することで和を論じるスキをなくしていくことが求められます。

リーダーは、和の形成を目的化することなく、パフォーマンスの向上を追及してほしいと思います。

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