部下は自分と同じく、会社の社員。対等に接することを心掛けよ

「仲良くならねば」と考え、頻繁に飲み会を開催したり、プライベートに関する質問をしたりしている

悲しいことに、上司が必要以上に仲良くなろうとした結果、部下が負担に感じて退職するケースも絶えないそうだ。

「部下は友だちではありません。職場の仲間以上の関係になる必要はないんです。飲み会もいいですが、部下たちだけで行かせてあげたり、原則自由参加にするなど負荷を減らすように心掛けましょう」と、岡崎さん。それが今の20代の感覚だと理解することが重要だと言う。

高圧的な上司の下では若手は辛くても楽しんでいる演技をするとのこと。笑顔や顔色だけで、「この子は大丈夫だ」と判断していると、本心を見誤って、予期せぬ退職につながってしまうようだ。

目標設定の際に「成果目標」と「行動目標」のどちらか、もしくはこの2つのみを設定し、伝えている

「『会社としてどういうビジョンがあって、どういう変化を社会に起こしていきたいのか』を伝えずに、部下を数字の奴隷にしてしまう上司は、今時若手のやる気を奪う」と、新野さんは語る。

例えば「今月1000万円を売り上げてください」という“成果目標”や「100件訪問してください」という“行動目標”を定めても、何のために1000万円を売り上げるのかという“意義目標”が分からないと、動く気持ちが湧かない若手が、今は増えていると言う。

新野さんいわく、「とくに“行動目標”“成果目標”だけで結果を出して昇進した上司の場合、そもそも上司自身が意義目標を必要としないタイプなので、このスパイラルを断ち切るのは簡単ではありません。上司になった人は誰であれ、部下に成果目標や行動目標を示すときは、必ず意義目標も同時に伝えることを意識するべき」とのこと。

ある程度任せた方が良いだろうと考え、任せた仕事の納期を設けたら、締め切り日まで特に進捗確認をしない

部下に仕事を投げたあと進捗確認をせず、締切ぎりぎりに出してきた提出物を見て「なんで今まで言わなかったの? わからないなら質問しないと」と言ったことはないだろうか。特に問題がないシーンのようにも感じるが、新野さんによると、これは「上司の指示の仕方が悪い」のだそうだ。

はじめての仕事を任せる場合は、例えば「明日中に出来た部分だけでいいから、一旦提出してください」と指示するのが正解なのだとか。

「上司が正しく指示をしないと、部下は何度もやり直し、疲弊してしまいます。そうして自信をなくし疲れ切った今時若手が退職していくのは、上司の責任です」と岡崎さんも語る。

「『それくらい』と思うような、小さな違和感が積み重なって若手は退職するのです。一つひとつの違和感を見過ごさず解決していくことで、後ろ向きな理由の退職は防げます」(新野さん)

「みんな早く帰りなさいよ」と言いながら、自分は残業をしている

帰れと言われても、上司がいると帰りづらいという空気感を、今時若手も感じるようです。それで生まれるのが無駄な残業。その積み重ねで若手は退職の二文字を頭に浮かべ始める。

「上司はとにかく早く、定時に帰ることが重要」だと新野さん。誰より早く帰ろうという姿勢が必要なのだとか。

どうしても残業が減らせないのならば、定時内に「どうすれば残業が減らせるか会議」を開くなどし、若手に意見を聞いてみるのも効果的だと新野さんは語る。

部下に「絶対に辞めてほしくない」と思っている

岡崎さんいわく「どれほど素晴らしい上司でも、部下が他のことに興味を持って退職をすることはある」とのこと。

「辞めてほしくない」という理由で“良い上司”でい過ぎると、その空気や期待感が負担となり、退職を言い出せず、退職代行を活用されるケースもあるようだ。

「上司に何の非がなくても、辞めるときは辞めます。ですから『自分なりに伝えることは伝えた上で、それでも部下が去るのは仕方がない』と日頃から心の備えをしておくことが大切です」と新野さん。

部下には信頼や信用をしても、過度な期待はしないのが正解なそう。そういう意識でいるほうが、かえって部下は退職せず、退職したいと思ったときにも、ちゃんと相談をしてくれるようだ。