ヨーロッパ社交界の代表は「モナコ公国」
そんなヨーロッパ社交界の代表国といえるのがモナコ公国です。モナコ公国というと、女優グレース・ケリーをイメージする人が多いでしょう。ハリウッド女優がヨーロッパの王子様と出会い、結婚するなんて、まるで映画のストーリーのような展開です。彼女は1956年にモナコ公国へ嫁ぎ、1982年に車の事故で他界します。しかし今でも彼女の話題は尽きません。エルメス社のケリーバッグはあまりにも有名で、2014年には『グレース・ケリー・オブ・モナコ』という映画も世界で公開されました。
現在はグレース王妃のご子息アルベール2世大公が元首を務め、奥様は元水泳のオリンピックメダリストのシャルレーヌ公妃。彼女も女優並みの美貌の持ち主です。このお二人が仕切っているモナコ公国という国は、フランスの一部になりそうだった危機を乗り越え、独自の統治機関を備えて大きく展開し続けています。
近年は4年間かけて大工事が行われていた、メインホテル「オテル・ド・パリ」の改装が終わり、ほとんどがスイートルームという造りになりました。中でも“The Princess Grace Suite”は983m2あり、その広さはヨーロッパ一番だそう。その周辺には高級ブランドのブティックが連なっています。また昨年完成したTour Odéonというビルのペントハウスは3300平方メートル(1000坪)で、売値が400億円と言われていますが、ほぼ完売に近い状態だそうです。
モナコ公国は世界で二番目に小さい国であり、皇居の約二倍ほどの面積と言われています。その小国の国土を広げるために埋立地を造り、現在はアイランド計画が進行しています。約10年後にモナコの島が完成する予定となっています。
国としては、犯罪率ゼロといわれるほど安全で、街中に防犯カメラが設置されています。また、毎日清掃車が掃除をしているのでゴミひとつ落ちていないほどクリーン。海と山に囲まれた立地で、一年通して温暖な地中海性気候も魅力的です。
最大の魅力は租税回避地であること
さらにモナコは居住者に対して所得税を課さない租税回避地です。相続税もありません。これだけ条件が整っていると、世界のお金持ちたちはモナコ公国を目指さないわけがありません。節税だけみてみると、オーストリアとスイスの間にある“リヒテンシュタイン公国”も租税回避地として有名な小国ですが、モナコは前述のように生活するのにも最高の環境です。その上、高額所得者に対して税制度が優しいのですから、社交の国としても有名です。
モナコでは、年間通して700以上の社交パーティが開催されています。世界の本当のお金持ちたちにとっては、この国を税の削減だけに利用するのではなく、現地の社交パーティに参加して新たな友達の輪を広げたり、チャリティーパーティで寄付金を募り社会貢献ができるようになっているのも大きな魅力かもしれません。
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