表は田辺さんが算出してくれた家族形態別の貯蓄割合の目安。シングルでは実家暮らしか否か、ディンクスでは年収、ファミリーでは子どもの人数などによって異なるが、自身ならどの程度が適切かを計算し、実際の額とどれくらい違うか確認してみよう。手取り年収×割合で貯蓄や投資に回したい金額を計算し、毎月、ボーナス時にそれぞれいくら貯蓄するかを考えるといい。ボーナスは変動が大きいので、支給額が減っても困らない額にしたほうが確実だ。

思っているほど怖くない。少額で投資を試そう

ネット銀行を利用する人が多いなど、「少しでも有利に増やすために情報をしっかりと得て、利用している人が多いですね」と、田辺さん。

年収が高い人では仮想通貨への投資経験があるなど、新しいものに関心を持ったり、積極的にリターンを狙ったりする人も少なくない。

最近注目されているロボアドについても、「使っている」「知っている」「使ってみたい」を合わせると全体の60%を超えている。

▼ロボアドに興味ある?
ロボアド(ロボットアドバイザー)とは、AI(人工知能)を用い、個々のリスク許容度に合わせた資産運用の方法が提示されるもの(詳細はP20~)。「使っている」が全体の約8%、「知っているが使っていない」が約27%、「知らなかったが使ってみたい」が約22%と、関心は高めの一方で「使わない」が約40%と、投資には積極的になれない人も。

確定拠出年金や、つみたてNISAといった制度の認知度も高いが、利用していない人が大半。「知っているけれど利用していない」というのが主流のようだ。

「貯蓄もしっかりしているし、運用についての情報にも敏感。それでも投資をしている人が少ないのは、安全性重視で、損したくないという気持ちが強いからでしょう」(田辺さん)

実際、アンケートでも「損をしないか心配」「増やしたいが怖くてできない」という声が多い。しかし人生100年といわれる時代。少しでもお金を増やすためには「貯蓄や投資に回すお金を確保する」ことに加えて、「それを上手に増やす」ことも重要。年収の多寡にかかわらず、資産運用のスキルは身につけたい。

田辺さんは、「投資をすれば一時的に値下がりすることはありますが、値下がりをなるべく小さくする方法は3つあります」と話す。

1つ目は、まとめて投資せず、毎月コツコツ積み立て方式で投資すること。積み立てなら高値のときに買ってしまう失敗を避けられる。また10年以上などの長期で値上がりを待てる資金を投資すれば、一時的に値下がりしても慌てずに済む。