束縛されたくない男
【Dくん】僕は今まで4人と付き合いました。1人目は中学生の時、2人目は高校生の時、3人目とは大学1年から3年までの2年間付き合いました。2年も続いたのに別れた理由は、僕が彼女との約束を何度も破ってしまったためです。僕は複数のサークルに入っていたり、インターンをしていたりと、所属するコミュニティがいくつもありました。でも、彼女は学校とバイト先だけしかなくて。そのことが彼女を不安にさせていたので、「サークルにはもう行かないよ」と言ってしまって……。
【原田】うそをついてしまった?
【Dくん】サークルに行けないのはイヤだったけど、彼女の気持ちも尊重したくて。
【原田】要は、自分のやりたいことも曲げたくないし、彼女の気持ちも尊重したいと考えた結果、彼女にうそをついた、ということだよね(笑)。二兎を追う者は一兎をも得ずとはまさにこのことだね。
余計なお世話かもしれないけど、おじさんになってから思うのは、自分のやりたいことを曲げるのも、相手にうそをつくのもどちらも長続きしないと思う。よく「うそには良いうそと悪いうそがある」って言う人がいるけど、僕はついていいうそなんてないと思っています。正直さは時に人を傷付けてしまうことも確かにあるけど、正直さで壊れてしまう人間関係は本当の人間関係じゃない。また、うそをついて仲良くなった多くの人より、正直さを出して仲良くなった数少ない人のほうが本当の関係だし、実際に長続きするもの。自然体でうまくいかない相手とは、結局のところ、長くは続かないんだと思いますよ。
まあでも、今の学生は昔の学生と違ってインターンもあるし、SNSでたくさんのコミュニティも持つようになっているから、彼女に束縛されて、交友活動を制限されるのが一番つらい、ということも事実としてあるんだろうね。
LINEで告白するほうが、痛手が少ない
【Eさん】現在高校生の私は、中学生の時に2人と付き合って別れて、今は高校生になってからできた彼氏と付き合っています。中学でできた初めての彼氏は、クラスが一緒で名前順が近かったので、よく話すようになり直接告白されました。
【原田】LINEでの告白じゃなく(笑)?
【Eさん】はい、違いました(笑)。彼は頭が良くて、スポーツもできたので文句ないなぁと思ってOKしました。ただ、相手の親が中学生での男女交際をあまりよく思っていなかったようで、窮屈になり別れました。
【原田】おお。中学生の恋愛っぽくてなんだか懐かしい。中学生の時に僕は恋愛したことないけど。
【Eさん】2人目の彼氏は、住んでいる市の国際交流事業のメンバーに選ばれた時に、同じ団体の構成員として海外に一緒に行ったことがきっかけで知り合いました。海外にいた10日間で仲が深まり、帰国後は2人で会うようになっていきました。そして、LINEで告白されました。
【原田】今回はやっぱりLINEでの告白かいっ(笑)! 僕なんか、高校生か大学生の時に、何時間も固定電話で好きな女の子と電話をした揚げ句、恥ずかしくて告白できなかったり、直接呼び出して好きな女の子と会ったものの、結局、恥ずかしくて告白できずに終わったりした経験が何度もあるけれど(苦笑)、今は本当に告白も別れも楽になってるよね。でも、LINEで告白して振られたら、なんだかとても悔いが残りそうだけど。やっぱり、散るなら直接会って全力で思いをぶつけて散りたかったな、と後で思ったりしないのかしら?
【Eさん】その逆なんじゃないかと思います。LINEでの告白ってあくまで画面上の出来事なので、精神的なショックや後悔というのは直接振られた時よりも薄いと思います。対面での告白だと、相手の反応や表情がそのまま伝わってくるし、映像として嫌な記憶として残ってしまいますが、LINEなら文章だけの記憶で済みます。
直接告白を断った人とは、それ以降話す時に少し壁ができてしまいますが、LINEでの告白だと仮想現実で起きたことという感じなので、結果がどうあれ互いに流しやすく、これまでの関係を続けやすいのだと思います。
【原田】そうなんだ。「LINE告白」だと告白する方もされる方も傷や負担が少ないんだ……。
【Eさん】ちなみに、その彼は模試で毎回全教科95点以上取るような秀才で、その頭の良さに憧れてしまいました。今から思うと、それは恋愛感情ではなく、リスペクトだけだったのかもしれません。だから、私の受験が終わって、彼の内面を冷静に見た時に冷めてしまい、私から振りました。
【原田】LINEで振ったの?(笑)
【Eさん】電話で振りました。既に嫌なところばかりが目につくようになっていて、どうしても顔を合わせたくなかったからです。LINEだと一方的になってしまうので、一応相手の話もきちんと聞こうと思ったんです。
【原田】昔は電話で振るのは不誠実で、会って振るのが誠実だったけど、今はLINEで振るのが不誠実で、電話で振るのが誠実になってきているのかもしれないね。