出張の締めの1杯を求め、狸小路の老舗バーへ
おいしい料理を堪能した後、ふらふらと歩いて8分ほど。そのバーは歓楽街「すすきの」の狸小路を入ってすぐの雑居ビル10Fにあった。
「ドゥ エルミタアヂュ」
ワンフロア1店舗形式のビルの10Fでエレベータを下りると、そこがバーの入り口だ。
奥に広がるのは、15席のカウンター。棚にはウィスキーやリキュールがズラリと並んでいる。
「いらっしゃいませ」
カウンター越しに明るい声で迎えてくれたのは、オーナーバーテンダーの中田耀子(ようこ)さんだ。中田さんほか男性バーテンダーが2人。何度となく一人でバーを訪れているが、女性バーテンダーが迎えてくれるだけでなぜか安心してしまうから不思議だ。
平日の22:30、カウンターには男性の先客が数人、中田さんに促されて奥のカウンターに座る。春のおすすめカクテルのメニューが目に飛び込んでくる。
「早春賦」という美しい名前にひかれてオーダーする。訪れた時季は、北海道はまだ桜の開花前、「早春」という言葉がよく似合う。
「どうぞ」とスッと提供されたのは、ジンをベースとしたやさしげな若草色のカクテルだ。聞けば、手作りのレモンチェロを使用しているのだという。
ワインやウィスキー、ブランデーなどをオーダーするのもいいが、カクテルは各店オリジナルのものも多いので、女性にはぜひ試してもらいたい。
オーナーは、女性バーテンダーの草分け的存在
オーナーバーテンダーの中田耀子さんは、現在74歳。札幌の有名デパートに就職後、手に職をつけたいとバーテンダーをめざし、26歳で札幌・すすきのにある老舗バー「やまざき」に入店。当時は、女性でバーテンダーをめざす人は全国でもめずらしかったという。38歳で独立、50歳で2店舗目となる、ここ「ドゥ エルミタアヂュ」をオープンしたのだそう。
女性バーテンダーの草分け的存在の中田さんのバーテン歴とともに、長年通い続ける客も多いのがこの店の特徴のよう。さらに中田さんのやさしい雰囲気に安心できるのか、女性のひとり客も多く訪れているようだ。全日本バーテンダー協会主催のコンクールで受賞歴もあり、業界でも名が知られている中田さんが考えたオリジナルカクテルだけでも60種以上。女性に人気の旬のフルーツを使用したカクテルもオーダーできる。
1杯目をクイクイッと飲み干し、2杯目は「スノードロップ」という、こちらもクラフトジンをベースにしたカクテルをオーダー。グラスに沈むミントチェリーがアクセントだ。
ベースのお酒を効かせるのがこちらのバーの特徴だそうで、このカクテルもジンの風味が効いている。お酒の弱い人は、オーダー時にアルコール弱めのものをオーダーするといいだろう。