「感情労働」から解放される時間をつくる

【茂木】昔は労働といえば体力を使うイメージでしたが、今は体より心を使うものが多いですね。最近では、社会学者のA.R.ホックシールドが「感情労働」という言葉を提唱しています。これは、顧客のために自分の感情を作ったり抑えたりしなければならない労働のことで、代表的な職業としてCAが挙げられています。看護師や保育士もまさにそうですよね。日本では、一般企業でも感情労働をしている女性が多いんじゃないかな。

【山本】自分らしい感情を出せる、本来の自分を取り戻せる機会を持ってほしいですね。普段の仕事で体より頭を使っているわけですから、GWには家でゴロゴロして体を休めるのもいいですが、頭を休めてほしい。そのためにも僕は、軽く体を動かしたり自然とふれあったりする「アクティブレスト(積極的休養)」をおすすめしたいです。

【茂木】外に出かけて普段とは違う景色の中でボーッとすれば、脳のメンテナンスにもなるし精神的なリラックス感も得られるはず。特に都会で働いている人は、自然の中に身を置くのが一番の休息になると思います。出かけた先でアクティビティを楽しめればさらに効果的。非日常的な体験と「楽しかった」という思いが、GW明けからの仕事にいい影響をもたらしてくれるんじゃないかな。

茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者。1962年、東京都生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞受賞の『脳と仮想』(新潮社)、第12回桑原武夫学芸賞受賞の『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)、『脳を使った休息術』(総合法令出版)など著書多数。
山本 貴義(やまもと・たかよし)
そとあそび研究家。アメリカ・ワイオミング州にあるグランドティトン国立公園の大自然に感銘を受けたことをきっかけに、2004年7月、アウトドアレジャー専門予約サイト「SOTOASOBI(そとあそび)」を創設。現在も、年間100日はアクティビティを取材する日々を送る。

構成=辻村洋子