男女平等の推進でGDPを12兆ドル増やせる

日本を訪れたのは今回で6回目です。1997年に初めて来たときは、入国審査官から「あなたは仕事をしているのか?」「ひとりで来たのか?」と質問され、女性が働いていることをとても驚かれた記憶があります。それから20年、日本社会も変わってきていると感じます。ひとつデータを見てみると、大卒の新入社員の中で女性の割合は1992年には30%でしたが、現在は46%。ほぼ半数になっていますね。これはすばらしい上昇だと思います。女性の人材は育ってきていますので、その人たちをいかに育成して成功に導いていくべきかということが問われています。

男性の経営陣に女性が社内で活躍することの大切さを説得するとき、経済的な理由を示すことも効果があると思いますよ。例えばPeterson Institute for International Economicsが世界91カ国の約22,000社を対象に実施した調査では、経営幹部(役員)に女性がいる企業のほうが純利益を増大できることがわかりました。McKinsey Global Instituteのレポートによると、男女平等を推進すれば、2025年までに世界のGDPを12兆ドル増やせる可能性があります。また、ジェンダーだけでなくエスニック(民族)のダイバーシティも重要ですよね。ダイバーシティ、多様性という言葉は美しい概念で、それを実現することはきっと、これからの経済の燃料となり原動力になると思います。

スー・プレンドラン
ネットアップ アジア太平洋地域マーケティングおよびコミュニケーション部門責任者。
スリランカ生まれ。メルボルンビジネススクールにて、戦略・マーケティングの博士号を取得。消費者行動に関する教科書の著者でもあり、学術雑誌でも広く研究を発表。2018年にNetAppに入社する前は、IBMに12年勤め、オーストラリアからアジア太平洋地域を包括し、さまざまな指導的役割を果たす。また、ラテンアメリカや中東を含む成長市場もカバー。直近では、アジア太平洋地域のIBMのデジタルビジネスグループの最高執行責任者として活躍してきた。

構成=小田慶子