育休前に57歳までのプランを提出
ガートナーにいる間、ひとり目の子供を出産しました。会社の有給の育児休暇は6カ月間でしたが、子供が赤ちゃんの時期というのは人生で数回しか経験できません。もっと子供と絆を深める時間がほしいと思い、希望を出してさらに6カ月、無給で休みをもらうことができました。
その経験から皆さんにアドバイスできるのは、育児休暇を申請するときは、自分にきちんと自信を持ち、ブランクによってキャリアが停滞することがないように話しておく必要があるということですね。私は上司に要望書を提出しました。そこに57歳までのキャリアプランを記し、「1年後、戻ってきたらこの仕事をしたい」「2年後、このステージに行くためにこういうスキルが必要なのでそれを積ませてください」と具体的に書いて交渉しました。やはり雇用主に対して自分が何をしたいかということを明確に発言しなければ、わかってもらえないと思います。
相談した夫から「なんでそんな質問をするんだ!!」
私も子育てしながら働く女性として、新しい仕事を選ぶときに迷ったこともありました。私の父が常に言っていたのは、「その仕事が自分を成長させてくれるかどうかを考えなさい」ということ。自分にとって、やりやすい仕事とそれより難しい仕事があるなら、少し居心地が悪いぐらいに感じるよう挑戦していくべきだと。
それでも、仕事のオファーをもらったとき「この仕事をちゃんとこなせるかしら」と考え躊躇したことが、2回ほどありました。しかし、夫に相談してみると、「なんて馬鹿な質問なんだ。できるかどうかではなく、まずイエスと言って、その後どうやってやればいいのか考えればいい」とアドバイスされました。できるかどうかの「Can」ではなく、どうやって実現するかの「How」で考えたとき、仕事もキャリアも拓けていくのだと今では思えます。
男性も加わってジェンダーについて話し合う
ガートナーを退社後、別のコンサルティング会社を経てIBMに転職しました。そこで12年間勤め、アジア太平洋地域のデジタルビジネスグループの最高執行責任者など、いろんな役職に就いてきました。IBMはネットアップと同じように、社員ひとりひとりの働き方に柔軟に対応してくれる会社。2人目の子供を産んでからシンガポールに引っ越しましたが、そこでも同じ業務をできるようにしてくれました。
そして、私は6カ月前にネットアップに転職し、アジア太平洋地域のマーケティングの責任者になりました。ネットアップのすばらしいところは、オープンな空気があり、トップから社員ひとりひとりまでジェンダーや国籍などの多様性が浸透していること。日本のオフィスでは多くの女性社員が活躍していますが、まだ最終的な目標に達してはいません。しかし、男女の区別なくテーブルについて意見を言える会社です。
「ウーメン・イン・テクノロジー」という組織を世界の各エリアに設置し、女性だけではなく男性も加わりジェンダーなどの重要なトピックについて話し合っています。そもそもネットアップの理念は「データを示して世界を変える」ということで、やはり社内の多様性なくしてはそういった変化を起こせないと信じています。