もちろん仕事で壁にぶつかることはたくさんあります。投資銀行のときのクライアントは、女性が嫌いな年配の男性でした。若い私のアドバイスなんて全く聞く耳を持ってくれず悩みました。そこで彼の娘を例に「あなたの人に対する態度に、彼女が将来仕事で出合ったらどうでしょうか?」と言ってみました。今思えば、若さゆえの大胆な発言ですよね。でも、おかげで彼との突破口が見えたのです。

(写真左)とにかくメモ魔。今はスマイソンのノートを持ち歩いています。(同右)離れていても夫から届く2人の子どもの写真に励まされます。

キャリアを昇るうえで、年上の人や自分より優れたスペシャリティーを持っている人とも組みリーダーシップを発揮する必要があります。私が学んだことは、すべてにおいて人より優れたリーダーである必要はないということです。管理職でも常に正解を持っているわけではない。才能豊かな優れた人材に囲まれれば、彼らからたくさん学び、より強いチームになっていけると信じています。そして、私にできることは、どんな人にも尊敬、尊重の念を持って接し、力になろうと努めること。自分が未熟な分野は常に勉強するとともに、事前のリサーチや準備を入念にしておきます。

何よりも大切なのは自分を信じること。あなたにしかない特別なものが必ずあるはずです。

▼my work rules
1.事前の準備をしっかりしておく
2.メンターやロールモデルを持つ
3.よく働き、よく遊び、よく休む
ランジャニ・カースリー(Ranjani Kearsley)
Eight Roads グローバル人事統括部長
インド出身。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス卒業後、シティバンク、エヌ・エイに入社。2008年より、フィデリティ・インターナショナルに入社。HRビジネスパートナー、グローバル人事統括部長などの役職を経て、フィデリティのベンチャーキャピタル投資を行うプリンシパル部門である、Eight Roadsに19年2月に異動。

構成=岩辺みどり 撮影=干川 修