月収ゼロから100万円に急成長した英語講師

次に、クラウドソーシングを使って事業を成功させた英語講師の例が紹介された。塾から独立し、自作のサイトで生徒を募集したものの反響はゼロ。スライドに映し出された実際のサイトは、やはり素人っぽさが漂い、失礼ながら少し怪しげにも見えてしまう出来だった。

そこでこの講師は、クラウドソーシングを活用し、集客コンサルタントやコピーライター、Webデザイナーなどを募ってサイトを作り直した。デザインや機能が向上して生徒も集まるようになり、ゼロだった月収は100万円まで上昇したという。

確かに、自分の苦手な分野はプロに任せたほうがいい。そのぶん得意分野に集中できるし、制作スピードや成果物のレベルもぐんと上がるだろう。紹介例は英語講師だったが、会社員でもプレゼン資料のレイアウトやスケジュール管理、経費清算など外注したいことはいくらでも出てきそうだ。

ガイアックス シェアリングエコノミー協会/ランサーズ 地方創生チーム ディレクター
蓑口恵美さん

「例えば私は、地域活性化のためのブログを書くために5人のライターさんに外注しています。写真やメモ書きをお渡しして、きちんとした文章に起こしてもらう形ですね。みな地方住まいで、実力はあるのに仕事がないという方たち。外注先というより、互いの目標や生き方に共感している“良きパートナー”です」

蓑口さんは事前にしっかり意図を伝え、テストライティングもしたうえで依頼したという。そこからパートナーとして協働を重ねていけば、あうんの呼吸も生まれて発注はどんどん楽になっていく。では、良きパートナーを見つけ、長く付き合っていくためにはどうしたらいいのだろう。

外注先=パートナーと良い関係を築くには

主なコツは3つ。まず1つめは、初回は「お試し」として小さな案件を依頼すること。このトライアルで互いに相性や信頼性などを見極め合い、問題なければ次から「本番」に入るのがオススメだ。2つめは、納品してもらう成果物をもとにどんな世界を作り出したいのか、依頼の際に詳しく伝えること。ここに共感してくれる相手なら、先々で離脱する可能性も低いだろう。そして3つめは、相手の意向や都合をきちんと聞き、決して無理強いしないこと。

逆に「してはいけないこと」は、どんな納品物がほしいのかわからないのに依頼する、自分が未経験の業務や機密情報を扱う業務を依頼する、“上から目線”で接する、の3つ。これなら、心がけるのもそう難しくはなさそうだ。

「クラウドソーシングは、人手不足時代の唯一の救世主。今後は上場企業でも活用が進んでいくはずです。今からスキルを身につけていくために、まずは毎月1万円分、小さく外注することから始めてみてください」