面接質問「タイムマシンに乗れたらいつの時代で何をしたいか」

長男の通うウィンチェスター校の場合、独自の筆記試験が課されるが、時間はわずか10分。非常に簡単な英語と算数が出題される。

「筆記試験は簡単で、筆記試験での二段階選抜はありません。ただ、面接が45分もあるんです。志望動機や何が得意かといった一般的な質問だけでなく、『タイムマシンに乗れたらいつの時代で何をしたいか』『なぜ中国はアメリカに追いつこうとしているのか』といった質問もあったといいます。次男の通うイートン校では、社交性を重視しているので、スポーツの経験や好奇心が強いことをアピールしたようです。次男はテニスでシンガポール国内での優勝経験があり、興味を持ったことは時間をかけてじっくり理解しようとするタイプでした。幼い頃は空き箱などでよく工作をしていました。そうした点も評価されたのかもしれません」

パブリックスクールでは、学力試験がトップの成績でも、面接で落とされるケースは珍しくない。

「面接に時間をかけ、校風に合っているか、知識だけでなく深く考える力があるかが注意深く見られます。経歴だけでなく、受け答えの様子なども見られているようです」

レゴ、トレーディングカード、ギリシャ神話

ウィンチェスター校に進んだ長男は、“興味のあるものにはとことん集中するタイプ”とモウリーさんは振り返る。幼い頃にとにかく夢中だったのはレゴブロックだったそうだ。

「夫はグランゼコール(フランスでトップの高等教育機関)出身なのですが、進学するには、高い数学力が必要とされるため、フランス社会では数学教育を非常に重視しています。そこで算数脳を育てるために子供たちに小さい頃から与えるのがレゴなんです」

幼少期は兄弟そろって父親とレゴで遊んだというモウリーさん一家。小学校に入ると、「ポケモン」「遊戯王」「ヴァンガード」といったトレーディングカードにはまった。

レゴで立体の感覚を勉強した(写真=iStock.com/ivanastar)

「レゴは立体感覚や想像力を育み、カードゲームは記憶力や駆け引きなどの知能訓練になりました」

長男はとりわけ物理や数学が得意だったが、読書好きでもあり、ギリシャ神話を好んで読んだそうだ。

「パブリックスクールでは教養を高く評価するので、本にはたくさん触れさせておいてよかったと思います」

特に勉強をどんどんやらせていたわけではないそうだ。

「バイオリンやピアノ、公文式など途中でやめてしまった習い事もありました。休日は公園で友達と忍者ごっこなどをしていました。食事の時間は家族で有名人や地理、歴史のクイズを出しあって遊んでいました」