英語の勉強(努力)を「続けられる脳」をつくるには?

多くの人は、地道な努力を何とか減らして、英語力をつける方法を探そうとします。そして、検索して見つけたその方法で勉強すれば、今度こそ(ある程度つらい努力を回避して)英語ができるようになる、と思いがち。その結果、「それなりに頑張ったのに、やっぱり全然できるようにならない。だからもういい、やめる」となるのです。

とくに、学習をしてこなかった人のほうが、より、努力の見積もりが甘くなり、このような流れに陥る傾向にあります。さぼっていた仕事や宿題に手をつける前は1日あれば終わると高をくくっていたのに、実際手をつけ始めると、1日では到底終わらないことに気がついて愕然とした経験があるのではないでしょうか。それと同じです。今まで英語をやってこなかった分、できるようになるまでの見積もりが甘いのです。

大人の学習は、子供の習得と違い、文法含め理論的に理解をしながら、多量の語彙や文法、音のインプットと実践的アウトプットを繰り返すことが必須です。我々大人にとっては、少しの努力で、英語が自在に操れるようになるなんて夢の世界です。子供でも言葉を覚え、使いこなすようになるのに生まれてから3、4年かかるのです。大人が新しい言語(英語)を自在に操るようになるにも年単位の努力が必要、とまず覚悟することが大事です。

そうすれば、思ったような成果がすぐに出ないことで、自分には英語なんて所詮無理、と投げ出したい気持ちは減ります。まずは、成果がでるのにどのくらいの時間と勉強が必要なのか、その「努力の見積もり」を修正するところから始めましょう。

英語勉強法は好きなものを選んでよい

正しい努力の見積もりができれば、効果がすぐにみえないことを受け入れ、辞めたい欲求も抑えることができ、継続力がついてきます。そして、継続できない脳から継続できる脳に変化していくのです。そうすれば、英語力も着々と身についていくはずです。結局のところ、巷にあふれている様々な英語勉強法、好きなものを選んでどれをやってもいいのです。大事なのは、それを長く続けることです。

細田 千尋(ほそだ・ちひろ)
博士(医学)。東京大学大学院総合文化研究科特任研究員/科学技術振興機構(JST)さきがけ研究員/帝京大学医学部生理学講座助教を兼任。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科認知行動医学系を卒業後、英語学習による脳構造の変化について研究を行い、研究成果は多数メディアでも紹介される。その後、「三日坊主タイプの人かどうか」を脳から予測するAIを作成し特許取得。現在は、大型の科学研究予算支援(JSTさきがけ・JST クレスト)のもと、プログラミング能力獲得と脳、 VRを利用した学習、様々な個人特性と脳についての研究をしている。

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