自分を全開にしてこそ100%の力を発揮できる

「今は、行動に移してよかったと思っています。ただ、カミングアウトしたからといって特別扱いしてほしいわけではないし、受け入れてくれなくてもいい。この2点は研修でもしっかり伝えていくつもりです。いつか、研修なんていらないほど、LGBTがいて当たり前の社会になったらうれしいですね」

カルチャー推進 ローラ・ウェイクフィールドさん

カルチャー推進の部署で働くローラ・ウェイクフィールドさんも、同じ思いを抱くLGBTの一人だ。前の職場では隠していたが、転職後は女性として生きていこうと決意し、LGBT向けの転職サイトでfreeeに出合った。そして、採用面接でトランスジェンダーであることをカミングアウト。入社後しばらくして、男性から女性へと移行した。

毎日出社しながらの移行には、かなりの勇気が必要だっただろう。心の準備が追いつかずに悩むローラさんを、同僚たちは「いつ移行しても私たちはウェルカムだよ」と励ました。その言葉に支えられ、ある日ついに女性の姿で出社。かつてないほど緊張していたが、待っていたのは想像以上の好反応だった。

「人生最良の日でした。あれから考え方も働き方も変わって、『これが私』と言える強さが身についたように思います。本当の自分を全開にしたことで、仕事へのモチベーションも上がり、100%の力を発揮できるようになりました」

「息子がLGBTだったら」と想像する姿勢を

自分らしく働ける環境は、誰にとってもメリットが大きい。2019年3月から法務チームで働く林慶彦さんは、「自分だけでなく3人の息子にも働いてほしいと思える組織だから」とfreeeを選んだ。息子たちが社会に出るころには病気を抱えているかもしれない。LGBTの可能性もある。それでも多様性を重視するfreeeなら、さまざまな活躍の場が待っているはずだと考えた。

研修後、林さんは「あなたと私は違う、という言葉が印象的だった。意見の違いは怒りにもつながりやすいが、違いを認めることができればケンカも起きないはず。子どもたちにも伝えてあげたい」と語った。LGBTについても、息子が当事者だったらと想像する姿勢を大切にしていきたいという。

違いを共有し、認めあい、ともに成長していく──。freeeのLGBT研修は、各企業のみならず、社会全体が進むべき方向を示しているように思った。