子宮頸がんの予防方法として十分に期待できる

ここで、ガーダシルについて紹介しておきたい。

ガーダシルが子宮頸がんの前がん病変である高度異形成を抑制することは医学的なコンセンサスがあるといっていい。オーストラリアの研究者たちから、2011年6月に英国の医学誌『ランセット』と、2014年3月に英国の医学誌『British Medical Journal』に報告が出されており、同様の報告はカナダなど他の国からも出ている。

子宮頸がんの予防効果についてコンセンサスはないはまだないが、フィンランドの研究者が、14~19歳の約2万7,000人に対し7年間追跡調査を行い、子宮頸がんの発症率はワクチン非接種群で10万人あたり6.4人だったが、接種群では0だったと2018年1月に『International Journal of Cancer誌』に報告している。つまりガーダシルは、若い女性に多い子宮頸がんの発症を減らす予防方法として十分に期待できるのである。

英国政府は女児の定期接種にガーダシルを選択

当初、HPVワクチンは米メルク社のガーダシル(4価)と英グラクソ・スミスクライン社のサーバリックス(2価)が存在した。2009年には日本でも承認され、2010年には公費接種の対象に加えられた。2013年の予防接種法改正では法定接種に追加され、小学6年生~高校1年生相当の女子を対象にHPVワクチンの定期接種が始められた。

ところが、接種後に疼痛などの訴えが続発し、2013年3月には全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が組織され、厚労省は6月に「積極的な接種勧奨を差し控え」を通達した。2016年には集団訴訟が提訴された。

現在、厚生労働省は禁止もしないが積極的に勧めもしない。さらに対象年齢以外の女性に対しては放置したも同然の状態が続いている。

一方、英国政府は、2011年11月に12~13歳の女児の定期接種に用いるHPVワクチンを、英国の企業が販売するサーバリックスからガーダシル4に変更すると発表した。

さらに米国では、2014年12月に米国食品医薬品局(FDA)が9価のガーダシルを承認し、2015年3月に米国疾病管理予防センター(CDC)の諮問委員会がガーダシル9の使用を推奨。2016年10月にはグラクソ・スミスクラインが米国でのサーバリックスの販売を停止した。2018年には米国食品医薬品局(FDA)が9価のガーダシルの接種対象を9~45歳の男女に拡大している。