頼れる右腕を育てる&任せる
「優秀なビジネスウーマンは、全員が全員と言っていいほど、優秀な人材を育てるのが上手です。そして彼女の隣には必ず頼れる右腕がいて、上手に指示を出しながら、見事に案件を動かしているのです。自分ですべてを抱え込むのでは仕事は回せない、周囲のスタッフを巻き込んでこそビジネスチャンスは広がっていくことを、多くの経験から学んできたのでしょう。そこで必要になってくるのが、“人の能力を見極める力”なのです」
さらに美月さんは「それは“適材適所を探す力”とも言えます」と続ける。コミュニケーション力を必要とする交渉ごとが得意なのか、正確性が求められる事務や経理作業が向いているのか、アイデアがものをいう企画分野で実力を発揮するのか……。
「そのために、普段からいろんなことをざっくばらんに話せる場を設けることを意識しておきたいですね。部下はどうしても上司に対しては遠慮しがち。『何か困ったことがあったらすぐに相談して』というひと言を自分からかけて、オープンな気持ちでいることを伝えておくだけでも違うはずです」
違う人間同士、感情のすれ違いや理解できない行動などはあってあたり前。それを前提に、コミュニケーションの通り道を抜けよくつくっておくことで、最終的には自分が助けられること、信頼度が増してビジネスも大きく回っていくことを肝に銘じておきたい。
男性社会と上手に付き合う
この数年、政府が掲げるのが女性の人材活用。上場企業などでは女性の役職者の割合が一定数を占めるように義務化されているところもあり、役員として抜てきされ、収入がアップした女性も増えつつある。ただ、絵に描いた餅状態で、役員とは名ばかり、情報は何も回ってこないとため息をつく女性がいるのも現実のようなのだ。
「数少ない椅子をどう守るか、男性も必死になっているのかもしれません。そこで立ち戻りたいのが、女性ならではの柔らかな物腰、感性、立ち居振る舞いを仕事に活かすこと。正面切って戦って無駄な軋轢(あつれき)を生むのはもったいない。今こそ女性力を発揮して、男性と上手に付き合いながら、自分のスペースと仲間を増やしていくのが賢いやり方だと思うのです」
そのために美月さんは、自分の極めたいことを明確にし、さまざまな業界について猛勉強したそう。そこで素直に「教えてください」と聞く姿勢を示すと、本物のビジネスエリートほど、有益な知識や情報を開示してくれたという。
「才能豊かな女性たちが実績を上げ始めたとしたら、もうそこに男女差はないですよね。あとは人間力で戦うのみですから」
日本企業は今まで男性社会だったのは事実。実力と謙虚さとかわいらしさを備える女性に、社会の女神はほほ笑むのかもしれない。
●男性社会こそ、女性らしい振る舞いが武器になる