▼業種に着目して銘柄選びの精度をアップ

PERとROEは業種の差が大きい

紹介した4つの投資指標のうち、PERとROEは業種によって値が大きく異なります。このため、有望銘柄を選ぶときには、業種の違いも考慮する必要があります。

▼PERやROEを業種別に見るのはなぜ?
【PER】
・為替の影響を受けやすい業種 →予想PERは慎重な数値になる
・成長している業種 →予想PERは高くなる
【ROE】
・設備投資が必要な業種 →予想ROEは高くなる
・設備投資があまり必要ない業種 →予想ROEは低くなる

なぜ、業種による違いが出るのでしょうか。PERは会社の利益を基準に計算しますが、自動車など海外で稼ぐ比率の高い業種は、為替変動の影響を大きく受けます。円高なら利益が減りますし、円安なら増えます。利益の予想が難しいためPERが低くなる傾向があります。もう1つの理由は業界の成長性です。PERの数値が同じでも伸びている業界のほうが期待値は高くなります。

一方でROEは、設備投資の影響を受けます。設備投資が必要な業種はROEが高くなりやすく、そうでない業種の場合には低くなりやすい傾向があります。このような理由からPERとROEは業種別に見る必要があるのです。業種内でPERは下位3割以内、ROEは上位3割以内を基準にします。表は、業種ごとに3割以内に入る銘柄のボーダーラインの数値を示しています。たとえば、水産・農林業のPERは10.49倍になっています。この業種の銘柄をPER基準で選ぶ場合には、10.49倍以下を有望と判断します。

※吉野貴晶氏のアドバイスをもとに編集部で作成