【増収率】
長期的な企業の成長性を見極める
イラスト=松島由林

増収率は経常増益率と同様に会社の成長を見る指標です。「(予想売上高-実績売上高)÷実績売上高」で計算します。数値が高いほど成長の可能性が高いと判断します。経常増益率と違うのは、将来の売上高を基準にしていることです。売上高が伸びるのは企業活動が拡大していることを意味します。よって増収率は長期的な成長を判断する指標といえます。利益を基準にした場合、売上高が伸びなくてもコスト削減で増やすことができますから、会社が成長しているとは限りません。

【ROA】
会社全体の収益力が判断できる

ROA(総資産利益率)はROEと同様に会社の成長性を見極める指標。一般的には「予想営業利益÷総資産」で計算します。ROAは計算に総資産を使用するので、借入金などが含まれます。一方でROEには借入金が考慮されないので、数値が高くても莫大(ばくだい)な借入金があるかもしれません。その場合にはROAを補完的に利用。ROEが高くてもROAが低い場合には、大きな借金を抱えている可能性が高くなります。

吉野貴晶(よしの・たかあき)
ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長
大和証券などを経て現職。日経ヴェリタス人気アナリストランキング・クオンツ部門で2002年から17年まで16年連続1位を獲得。著書に『No.1アナリストがいつも使っている 投資指標の本当の見方』(日本経済新聞出版社)など。

構成=向山 勇 イラスト=松島由林