女性役員の道を開き、後輩につなげる活動を
「オリックス生命保険で執行役員になり、役員の仕事とはなんだろうということを考えました。いわゆる実務のプロが部長だとすれば、役員は方針を出す。あとは現場に委ねながらもサポートは怠らない。そして、責任がある管掌範囲だけではなく、全社的に見ること。部分最適ではだめなんですよね」
2014年、オリックスでも初の女性執行役となった。
「女性の後輩たちがすごく喜んでくれて、『山科さん、0と1では違うんです。0はいくら掛け算しても0だけど、1はやがてそれが2になって3になる』と言ってくれたことが、とても励みになりました」
そこで女性役員の異業種交流会をつくり、そのメンバーで課長クラスの女性に向けた勉強会を年に4回開いている。
「最近は、均等法以前のことを知らない若い世代が着実に課長クラスに上がってきている。それがうれしいですね。私もいろんな人に支えられ、チャンスをもらってここまで来たので、先輩からいただいたものを次に渡したい。ペイ・フォワードという言葉があるように、“ご恩”をつなげていければいいなと思います」
そんな社会的意義のある“ワーク”を実践中。今は32年間のキャリアがきれいにリンクした充実の時を過ごしている。
Q.好きな言葉
悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する(フランスの哲学者・アラン)
Q.趣味
国宝めぐり
Q.ストレス発散
夫婦で料理をすること
Q.愛読書
『幸福学×経営学』前野隆司、小森谷浩志、天外伺朗(共著)
オリックスグループ 執行役員
1986年、オリエント・リース(現・オリックス)入社。2010年にオリックス生命保険執行役員。14年にオリックス執行役グループコンプライアンス部・グループ監査部管掌就任。16年に同グループ執行役員、オリックス・クレジット代表取締役社長となる。
撮影=市来朋久