この医師で大丈夫? 同業者が教える精神科医の選び方

いざ精神科にかかろうと思っても、どこに行けばいいかわからないという人も多いだろう。医師選びで失敗しないためには、どうすればよいのだろうか。

「おすすめはかかりつけ医に相談することですが、勤め先の産業医や役所の保健師など、地域の精神科医とネットワークを持っている専門家に評判を聞くのもよいでしょう」と丸山先生。インターネットの口コミを見るのは手軽だが、患者の主観に左右されるため、確実な情報は得にくいという。

Tomy先生は、「同業者の立場から、私がおすすめできないのはこんなクリニック」と、4つの特徴を紹介してくれた。

まず、複数の診療科の中に精神科や心療内科が含まれるところ。

「ドクターの経歴に『精神保健指定医』や『日本精神神経学会認定専門医』の資格がなければ、精神科も“ついでに”診ている可能性があります。精神科の薬に詳しくなく、依存性のある薬を安易に出してしまうドクターもいます」

2つめは、薬をむやみに出すか、まったく出さないドクター。

「精神科では、抗うつ薬、抗精神病薬、気分安定薬、抗不安薬、睡眠薬の5種類を組み合わせるのが基本ですが、同種の薬がいっぺんに複数出ていたら不自然。一方、『薬を使わずに治します』というドクターは、カウンセリングなどの精神療法が中心になりますが、時間がかかり、確実に効果が出るわけでもありません」

3つめは、カウンセリングと検査が多いドクター。「検査は保険がきくものが多いですが、結果レポートの作成は自費になることも。カウンセリングは保険適用外で、高額に設定しているクリニックもあります。患者さんの同意も得ずに押し付けてくるところは、お金もうけ優先かもしれません」

4つめは、一方的に自分の考えを話し、困っていることを訴えても取り合わないドクター。

診療時間もひとつの目安。初診は30分くらいかけるのが一般的だが、10分ほどで終了したり、再診は5分未満というドクターもいる。「患者さんの表情やしぐさを観察して、症状の変化を読み取るためには、再診でも15分は必要ではないでしょうか」と野田先生。「信頼関係が築けないと感じたら、転院してもいいと思います。ただし、薬を独断で中止すると症状が悪化することがあります。服薬を続けながら、新しいクリニックに行くようにしてください」

転院するには紹介状が必須、と思い込んでいる人もいるが、紹介状なしでも受け付けている病院はある。頼みにくいドクターなら、黙って病院を変えてしまおう。

イラスト=MAIKO SEMBOKUYA

(1)薬が多すぎるか、まったく使わない
初診から6種類以上の精神薬を出されたら、ドクターに説明を求めよう。まったく使わない場合は、通院が長期化するリスクがある。


(2)複数の診療科を同時に掲げている
診療科の最後に「心療内科」や「精神科」と書いてあるクリニック。精神科の専門医でない場合は、処方する薬の選択肢が少なくなる。
(3)カウンセリングと検査の回数が多い
再診以降でひんぱんに検査を行ったり、保険適用外のカウンセリングを半強制的に組み込もうとする。治療に必須でないなら断ろう。
(4)患者の話をあまり聞こうとしない
「あなたは○○だから」と一方的に決めつけたり、患者の訴えに耳を貸さない。初診では親身でも、徐々に態度が変わることがある。