何もやらないより、失敗のほうがいい

私は、社員全員にチャレンジ精神を求めている。チャレンジ精神と好奇心さえあれば、何だってできると信じているからだ。まずは、やってみる。ダメだったら、改善する。ということを繰り返すしかない。夢のような目標を立てて、それが実現したときの感激というのは、何ものにも代えがたい。とくに若い社員には、この「感激」を経験してもらいたい。果敢に挑戦した結果の失敗なら、私は何でも許す。何もやらないより、100倍いい。

これまでのゲストとは違う層の集客を目的として、バイクの展示会や痛車(いたしゃ、アニメの図柄を塗装した車)愛好者の集いや、テレビなどに出演する前の「アイドルの卵」を集めるフェスを開催した。これらは若手社員の発想だった。

来場したことがない世代や趣味の方々が集まったため、通常の競艇場イベントでは想定できないようなアクシデントも起きた。ただ、現場にとっては非常にいい経験になった。新しいサービスを生み出すために、新しい事柄を調べたり、新しい人とのつながりをつくったり。この経験を積み重ねるように、また別のチャレンジに向かっていってほしい。遠慮はいらない。

私自身がやりたい、大きな挑戦

私自身もリスクをとって、私の立場としてのチャレンジをしていく。まずは、ゲストの利便性を上げることだ。舟券をいかに簡単に買えるかということをテーマにしている。もちろん、競艇場に来ていただけるのが一番だが、それだけでは売り上げが大きく伸びない。今は、電子決済の可能性を探っている。将来的には、仮想通貨に対応することも考えられる。

さらに、海外に出たい。競馬は、日本馬が挑戦する海外レースの馬券を買えるようになった。想定より、かなり売れているという。これとは逆に、桐生のボートレースを海外で買えるようにしたい。現在は、日本の銀行に口座がないと投票できない。訪日外国人の方が日本に来て、競艇を気に入ってくださっても、多くの場合、自分の国に帰ってインターネットで舟券を買うことはできない。今の売り上げ比率に、「海外売上」というカテゴリーが追加され、大きな割合を占めることになることを夢見ている。

(撮影=小川 聡)