「まさかと驚きはしましたが、うれしかったです。ただ、仕事と両立できるのかという不安も。職場のサポートもあり、生後7カ月で復帰しましたが、こんなにも大変なのかと思い知りましたね」

夫は仕事に追われ、帰宅が遅いため、子育てはほぼワンオペ状態。息子は病気がちで、夜泣きや急病のため眠れない夜が続く。そんな中、仕事でもチームリーダーとしての責任がのしかかった。

専門職への転換など、両立の道を探ってきたが、悩んだ末に退社。だが話し合いの結果、担当していたプロジェクトを業務委託のフリーランスとして続けられることになった。このような事例は会社としても初めてだった。

「ありがたいことに、今は早く帰れるので、保育園帰りの子どもと公園に寄って遊ぶ、といったささやかな幸せを噛(か)みしめています。でも、落ち着いたらまた仕事を増やしていきたい。子ども向けの教育など、地元を基盤に事業を広げていくのが今の夢です」

33歳:キャリアチェンジのため、カナダの大学院に留学
37歳:研究マネジメント職に関心が移り、今の会社で働き始める
38歳:趣味を通じて出会った男性と結婚。職場ではチームリーダーに昇格
42歳:子どもの夜泣きや急病で眠れない日々。夫とのけんかが増える
46歳:育児優先のため、会社を辞め、業務委託のフリーランスに

撮影=伊藤菜々子