女性リーダーとしての、将来も視野に入れて

全身筋肉痛になって、疲労困憊(こんぱい)して帰宅する植野さんを見かねて、母親は何度も「もう辞めたら?」と声をかけてきたという。

Essential Item●デジタルカメラ(右)とレーザー距離計(中央)。工場内は乾燥するので、リップクリーム(左)も携帯している。

そんななか、精神面で強い支えになったのが、同じ生産技術部にいた1つ上の女性の先輩だった。

「就活セミナーで会ったKさんという人で、私が1人でお昼を食べていると話しかけてくれたり、『新しく入った社員やで』といろんな人に引き合わせてくれました」

おかげで、話をしたことのない男性社員とも少しずつ親しくなれた。大人数で若手の飲み会が開かれたとき、真っ先に隣に座ってくれたのもKさんだ。「同期には女性エンジニアがいないので、Kさんが一番近い存在。私にとっては、“1年後の目標”なんです」

移設工事での実績が認められ、植野さんは17年から社内の「女性リーダー研修」に参加している。この研修は、上司の推薦があって初めて参加できるもので、結婚、出産などのライフイベントでキャリアが中断される前に、若手にリーダーとしての資質を身につけさせるためにある。

「工場のラインには、子どもを育てながら働いている女性たちもいます。いろんな立場の人が働きやすい現場にするにはどうすればいいのか。よく観察して、将来リーダーになったとき、活かせるようにしたいです」

▼植野さんの1日のスケジュール(残業のある日)
(6:30)起床、朝食、身じたく
(7:30~8:10)通勤
(8:30~12:00)始業。会議、打ち合わせ、現場の確認など
(12:00~12:45)昼食
(13:00~17:00)業務再開。資料作り、メール返信、打ち合わせなど
(17:00~19:30)残業
(20:00~23:00)職場の同僚と飲み会
(23:30~24:00)帰宅、入浴
(24:00)就寝

撮影=伊藤菜々子 メイク=吉田真由美