「それはあなたの夢じゃない。あなた自身の夢は?」
前向きになると、人の良いところばかり見えてきて、発する言葉もポジティブになり、すべてが良いスパイラルに入ります。お母さんが充実した気持ちで帰宅するので、子どもへの声かけもポジティブになる。心から「あなたらしいね」と認められるんです。結果的に大成功だったPTA会長の経験は、大きな自信となりました。あのとき背中を押してくれた夫と、この本には心から感謝しています。
『なりたいなぁ』は、世界で1500万人の人生を変えたといわれるプレム・ラワットさんの絵本です。その内容は、偶然にも夫の提唱する「幸せのメカニズム」とほぼ同じ。小さなお子さんでも読めますから、ぜひご家族で読んで「本当の幸せ」について考えてみてください。
いまでこそ、さまざまなことに挑戦していますが、これも実は20年近く前、夫の留学先のボストンでの出来事がきっかけになっています。子どもを遊ばせていた砂場で、世界中から集まったママたちとお喋りをしていると、突然「マドカの夢は何?」と聞かれました。「子どもを立派に育てること」と答えると、「それはあなたの夢じゃない。あなた自身の夢は?」と口々に言われ、子育て以外に自分の夢がないことに愕然としたんです。そんな経験があり、当時の自分のようなお母さんをなくしたい、自分らしい人生を過ごしてほしいと考えています。
もちろん、時には嫌なことも起こります。そんなときは、そこからどんな学びがあるのかと考えます。すると、嫌なことも自分が成長するために用意されたのだと思える。そう思えるには、家庭がいつも安心・安全な場であることが大切です。日々そこに戻ることでリセットできる。
幸せは伝染するという研究結果があるように、家庭や組織にひとりでも「幸せ」気質のメンバーがいると、それが波及し、少しずつ幸せの輪が広がります。家族の中心はお母さんです。お母さんが幸せであれば、子どもや夫も幸せになります。これからもこの四因子をたくさんの方に広め、世界中の人たちをハッピーにしたいですね。
『happy~しあわせを探すあなたへ~』
監督:ロコ・ベリッチ
2012年・アメリカ
現代社会における「本当の幸せとは何か」を問うドキュメンタリー。GNH(国民総幸福量)で話題のブータンや東京のオフィス街など世界16カ国を巡って取材。「人はお金や地位では幸せになれないということを、目の当たりにします」
慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属SDM研究所 地域活性ラボ・ヒューマンラボ研究員。サンフランシスコ大学、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)などを経て現職。近著は『月曜日が楽しくなる幸せスイッチ』。
構成=富岡麻美 撮影=吉澤健太、曾田 園