「何気なく手に取った一冊で、人生が変わった」。そんな経験のある人は多いのではないでしょうか。雑誌「プレジデント ウーマン」(2018年1月号)の特集「いま読み直したい感動の名著218」では、為末大さんや西野亮廣さんなど11人に「私が一生読み続けたい傑作」を聞きました。今回はその中からDAncing Einstein代表の青砥瑞人さんのインタビューを紹介します――。

「動いて、チャンスの表面積を増やす」に奮い立つ

僕は高校を中退しているんです。それ以前の僕のルーツは野球にあります。しかし、怪我で野球ができなくなったことなどで学校に行く意味も見い出せなくなってしまったのです。ある日、「野球一筋で生きてきて、自分は将来、一体何をしたいのだろう?」と深く考えました。

DAncing Einstein代表 青砥瑞人さん

その答えはやはり、野球でした。とりわけ、自身が小さい頃から続け、その効果を、野球を通じて体感していた丹田呼吸による集中力の向上。あれは一体なんだったのかを深く深く知りたくなったのです。

そして出合ったのが、偶然書店で見つけたセロン・Q・デュモンの『集中力』。僕に2つの大きなインパクトを与えてくれました。

まず「集中力を深く知るには、脳を知るしかない」という示唆を得たこと。それが脳、スポーツ、メンタルの関係性への興味を強固にし、UCLAで神経科学を本格的に学びたいという想いの一端になりました。

2つ目のインパクトは、『集中力』に書かれていたいくつものメッセージ。「チャンスは訪れるものではなく、自分が見つけるもの」「自分が行動するからチャンスは生まれる。まずは動いて、チャンスの表面積を増やす」といった言葉の数々が、僕を何度も奮い立たせてくれたのを覚えています。

UCLAを目指した当初は、周りから「高校を中退してUCLAだなんて」「英語もろくに話せないのに」と猛バッシングを受けましたが、そんな言葉も耳に入らなくなりました。渡米後も、モチベーションが下がったり、気持ちが落ち込むと、この本を開きました。初心に戻れる大切な一冊です。