実力のある弁護士は、裁判所が知っている
弁護士の仕事ぶりを誰よりも認識しているのは誰か――。それは、裁判所だろう。多くの弁護士の、その働き方を見ているから、比較できる。もっとも、裁判所に「どの弁護士がいいですか」と質問しても教えてもらえない。ヒントになるのは、裁判所が弁護士に依頼している案件だ。たとえば、破産した会社の整理をする「破産管財人」という役割があるのだ。その実績の有無を判断材料に入れるといい。あくまでも私の個人的見解ではあるが、裁判所は実力のある弁護士を見定めて、依頼しているに違いない。
自力で判断する方法として、実際に事務所に電話してみることもおすすめする。法律事務所の品質は対応するスタッフのレベルでも察しがつくからだ。電話口の対応が暗かったり、手際が悪かったりすると黄色信号だ。スタッフの対応が悪い事務所は、スタッフと弁護士とのコミュニケーションがうまくいっていないのかもしれない。事件処理は、弁護士とスタッフの共同作業だ。事務所内のコミュニケーションがうまくいっていないようなところに、依頼するのは危険である。組織の品質は、トップの品格以上のものにはならないのが常だ。
「自分との相性」も忘れてはならない
気になる弁護士がいたら、ぜひ会ってみてほしい。どれだけ情報があっても、会ってみないとわからないことがたくさんある。会ってみて違和感があれば、その場で決めず、他の弁護士にも会ってみることだ。弁護士は、他の士業と違って「対立する相手」と向き合うためのパートナーだ。思うように事件が処理されるとは限らない。むしろ思うようにいかないことが多いかもしれない。だからこそ、社長が納得したうえで依頼することが大切になる。
結局は「社長と弁護士との相性」がすべてなのだと私は思う。労働事件の場合、裁判になれば大半のケースで会社側が劣勢に立つ。そのなかで「弁護士を信用できるか」が土壇場でものをいう。「信用」とは、弁護士の方針がハッキリしているかどうか、それに納得できるかどうか、ということに尽きる。
私自身の方針は、解決至上主義だ。方法にこだわらず、話し合って1日も早く解決することをポリシーにしている。中小企業においては、裁判になって社長の時間を浪費することがもっとも手痛いからだ。裁判で白黒ハッキリつけないことも多いため、「島田のやり方は、玉虫色の解決だ」と批判されることもある。だが玉虫色であろうと、解決したことに違いはない。いつまでも解決できないより、誰にとってもいいはずだ。
最後に、私から見た「頼りになる弁護士、危ない弁護士」をお教えしたい。