午後4時すぎの仮眠や帰りの電車での居眠りはNG
さて、寝付きが悪い人が陥りがちな間違った習慣を挙げておこう。
夜はメラトニンの働きで、体の深部体温が下がり、深い眠りにつながるため、お風呂の時間に注意が必要だ。「寝る直前は、体がほてって深部体温を下げられないので、1~2時間前に入るのがよいでしょう」。体温が下がりきらないうちに早くから、だらだら寝るのもよくない。
また、コーヒーや紅茶などカフェイン入り飲料は脳を覚醒させるので、寝る直前に飲むのは避けること。寝酒は眠気を誘発するものの、アルコール代謝物が脳を覚醒させるので、寝る3時間前までに飲むのがよいそうだ。
「パソコンやスマートフォンのブルーライトも睡眠を妨げます」。メールチェック、読書も頭が冴えて寝られなくなるので寝る直前は避けること。
では、忙しい人にもできる生活習慣の工夫とは。「帰宅時に少し早歩きをするなど、週2回くらいの軽い運動で、頭より体を疲れさせると眠れやすくなります」
可能なら生活リズムを朝型に変え、夜はリラックスして寝る時間というルールを体の中で確立するのがよい。
週末に「寝だめ」するという人もいるが……。「寝だめはできません。ただ、日ごろの睡眠不足(睡眠負債)は、30分以内の昼寝・仮眠で補充できます」とのこと。ただし午後4時すぎの仮眠や帰りの電車での居眠りは、夜の睡眠を阻害する可能性があるので、注意が必要だ。
注意したいのはいびきをかく人。いびきは睡眠時無呼吸症候群が疑われ、酸素を十分に取り込めず、心臓・脳血管障害などを起こす可能性がある。悪夢や金縛りは、睡眠の質が低下しているサインなので、睡眠専門のクリニックの受診が望ましい。
まずは朝日をよく浴び、寝る前のスマホをやめてみるところから始めよう。
写真=アフロ