やはり、女性特有の要因が潜んでいそうです。そこで、どんな要素が「続けたい」「管理職になりたい」という意識に影響しているのかを男女別に分析してみました。労働時間、接待の回数、時間外対応の頻度などとの相関を探ってみましたが、統計的に有意な差は出ませんでした。
つまり、現状で長時間働いている人ほど「続けたくない」と思っているわけではない。ところが営業という仕事についてのイメージ約20項目との相関を探ると「続けたい」「管理職になりたい」に影響してくるものが浮かび上がってきました。
1番大きく利いているのが時間の観念です。「子育てとの両立が難しい」「短時間勤務は顧客に迷惑がかかる」と思っていない人ほど、また「時間の融通が利く」と思っている人ほど、続けたい、管理職になりたいと思える。この項目は男性にも質問しているのですが、男性はほとんど影響がありません。男性は「短時間勤務は迷惑」だと思っていても、それが「続けたい」「管理職になりたい」という気持ちには影響していないというわけです。自分事ではない、ということかもしれません。
さらに興味深いのは、そもそも女性のほうが、こうした時間の観念が強いということです。エイカレに参加した営業女性の大半は子どもがいませんが、将来の子育てとの両立を不安に感じている様子がわかります。属性にかかわらず4割が「内勤やスタッフ業務に比べて、時間の融通を利かせやすい」とは思っているのですが、「子育てとの両立が困難な仕事だ」と思うかどうかは男性、そして特に上司とは大きな差がついています。身近にロールモデルがいないことで過度に不安に感じている可能性もあります。