「セクハラ」専門家4人の本音トーク

【鬼塚】会社の相談窓口に行くとき、あらかじめどういうものを準備するといいのかしら。

【丸尾】まずはどんなことでも情報を伝えることですね。「昨日の飲み会で○○さんから、こんなことを言われて、すごく嫌だった」、これだけでも、会社としては相談を聞かないというわけにはいきませんから。

【鬼塚】じゃあ、録音、メモをしていなくてもOKなんですか。証拠はいらない?

(右)協会代表理事・FP 鬼塚眞子さん

【丸尾】最終的には、いりますよ。だから、何かされたら必ず、証拠に残すこと。でも初動としては、口頭で注意してくれるだけのこともあるでしょうし、これから気をつけて様子を見てもらうということだけでも、大きな意味があるので。

【鬼塚】物的証拠がなかったら、某政治家秘書のように、ICレコーダーやスマートフォンで会話を録音したり、プライベートな内容のメールやLINEがきたら必ずとっておくということも必要でしょうか。

【丸尾】いまどきセクハラをする方というのは脇の甘いことをしがちなので、証拠を残す傾向があります。証拠を取っておいてと伝えると、なんらかの形でお持ちになる相談者が多いですね。

【林】会社に相談しても「酔った席での話だから」で済まされることも多いように感じます。

【鬼塚】そうそう。私たちが20代のころは、“これが当たり前”という世の中の風潮だったわよね。嫌でも何でも、もう適当にあしらうしかないって感じで。いまはお酌させるのもセクハラになる?

【丸尾】その人が嫌ならセクハラです。確かに昔は、酔った席なんだからという文化もあったと思うんですけど、いまは酔っていたとしてもセクハラは駄目、というのが原則だと思いますね。

【鬼塚】おじさんたちは数十年前の感覚のままだから、いまの時代は違うんだっていうことを、会社からもっと強く言ってもらわないと駄目なんだけど。いまだに男性社会を感じる場面は結構あるものね。

【林】そう。でも多少は変わってきましたよね。若い人は断りますもんね、「行きません」「飲めません」と言う人も増えてきたような。

【鬼塚】ただ、やっぱり飲みニケーションっていうのもあることは事実じゃない? 飲みの席を断ることで、今後の自分の仕事の優位性が変わってしまうんじゃないかとか、全く懸念しないことはないですよね? そういうのは先生、どうですか?

【山岸】飲みに行かないから、労働上不利益を受けるとなると、それも問題が出てくると思います。