【山岸】上場企業には社内にコンプライアンス委員会(以下、コンプラ委員会)があると思います。匿名性を意識していますから、まずはここに相談する方法があります。大企業だと外部の弁護士などを入れて第三者委員会をつくって検証することもあります。

社内に相談するのに抵抗があれば、外部の弁護士や、行政の相談窓口もあります。

【丸尾】2016年厚生労働省告示の「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(以下、ガイドライン)には、かなり詳しく会社が講ずべき内容が記載されています。

たとえば、就業規則等に「セクハラはやってはいけないこと」「やると懲戒処分がある」と規定して、みんなに周知徹底しなさい、と書かれています。この流れを受けて、いまはほとんどの会社にセクハラに関する規定があります。

またこのガイドラインには、「会社はセクハラの相談を受けたら迅速かつ適切な対応をすべきだ」とも書かれています。

行為者の懲戒処分や配置換え、謝罪させる、また、再発防止などの措置を講じるべきということも具体的に書いてあります。プライバシーの保護や、労働者がセクハラの相談をしたことで、職場で不利益な取り扱いを受けないように配慮すること、相談者に協力した人も不利益を受けないこと、なども記載されています。

そうすると、会社に相談窓口がないとか、相談しても「まあ、君、もう少し頑張れよ」などと言って全く対応をせず放置したら、それ自体が均等法違反です。

慰謝料請求はハードルがありますが、早いうちに相談に来ていただければ、方向性を決めて証拠を集めていくことができるので、「よし! ここまで証拠が取れたのならやりましょう!」となることもあります。

女性のみなさんには、泣き寝入りしないでいろんな方法があることを知っていただきたいと思います。「嫌なことは嫌だ」と、声をあげることはできるのだと、勇気を持っていただきたいですね。