キャリアの壁3:もう辞めたい! そう思ったら、どうしたらいい?

仕事を辞めたくなったら、ためしに辞めたあとのことを徹底的にシミュレーションしてみてください。

私は会社員時代、仕事でフリーランスの同時通訳の方にお会いする機会が多かったので、通訳の仕事に無性にあこがれたことがあります。そこでいろいろと調べてみたら、私がお会いした人たちは同時通訳の世界でも頂点にいる人たちで、そこまで行けるのはほんの一握りだとわかったのです。そうこうするうち、私を悩ませていた仕事が一段落。そうしたらなんだか気が済んでしまって、「なんだ、私疲れていただけだ」と気がついた。結局、通訳は目指しませんでしたが、自分の気持ちを確認できたので、調べてみてよかった。もし何もせず諦めていたら、悔いが残っていたことでしょう。

▼自分にとっていまの会社はどんな存在か分析してみて

やりたいことがあっても、あこがれだけで飛び込むのは危険。ましてやよく調べずに会社を辞めてしまうなんてことはダメ。いまはいくらでも情報をとれる時代ですし、副業を許可する会社も増えています。会社員をしながら少しだけ試験的に始めてみてもいい。その結果、「絶対にやりたい」と思うなら、たとえ失敗しても悔いはないでしょう。

転職するか、それともいまの会社にとどまるか悩んでいるような場合は、図のように、自分にとっての会社の強みと弱みをSWOT分析してみてもいいかもしれません。

気をつけてほしいのは、「イヤ」が理由で辞める場合。ブラック企業の場合は別ですが、「イヤだから」という理由で辞めても、その「イヤ」はどこに移ってもなくならない。それに面接する人も「この人はイヤなことがあったらすぐ辞めるんだろうな」と思うから、なかなか採用されません。「いまの仕事はもうやりきった!」という満足感とともに、「もっと違うことに挑戦したい」という前向きな理由が生まれたときが、次のステップを踏み出すときでしょうね。

▼田島さんから「私らしく働く」アドバイス
辞めたあとのことを、徹底的にシミュレーションしてみましょう!
田島弓子
キャリアカウンセラー。成蹊大学文学部卒業後、IT業界専門の展示会主催会社などを経てマイクロソフト日本法人に転職。営業・マーケティング部門で数少ない女性の営業部長を務める。2007年、キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。『プレイングマネジャーの教科書』など著書多数。

構成=長山清子 撮影=市来朋久