朝起きたら管理職! というシンデレラハラスメント
ずっと事務職として育てられ、いきなり管理職に指名されたら……、本人たちからも悲鳴の声が上がることになりそうです。
「部下も持たず、つい最近まで昇進も考えていなかったという人たちばかり。違和感を持つ人、プレッシャーを感じる人など、社内では新たな問題が起きています」(メガバンク勤務の30代後半の女性)
銀行に限らず、生保や損保、証券業界でも事情は似ているようです。
「事務職からの管理職」に戸惑う声を集めてみました。
「38歳になった2015年、いきなり課長になれ、と言われたんです。出世なんかしたくなかったし、何をやればいいかわかりません。『いままでと仕事は変わらず、待遇がちょっと良くなるから』と上の人は言います。それなら、本社で広報の仕事をしてみたいなあ」(外資生保の老舗の保険事務の職員)「40歳を過ぎていきなり管理職になりました。バックヤードの仕事一筋だったので他部署の人も知らず、基幹職研修で一緒になると緊張します。そこで課題に出るプロジェクトファイナンスの事例など、さっぱり意味が分かりません」(国内大手損保の営業部勤務)
「スカートをはくしかないか」と諦め顔の男性
かつて企業は、総合職採用した多くの女性を、「女性がなじみやすい4つのR」部署に配属していました。IR(経理)、PR(広報)、HR(人事)、CSR(法務)とRのつく部署です。いま、多くの企業で起きている「4Rの女性管理職バブル」は、4Rに多数いる管理職適齢期女性を昇進させることで起きるのです。当然、何人もの「部下なし課長」が生まれるという不思議な状態となっています。
その煽りで、同年代の男性社員の昇進可能性はいよいよ小さくなります。「課長になるには、スカートでもはくしかないか」と諦め顔で語る男性社員も少なくないそうです。
本記事は、『資格を取ると貧乏になります』(新潮新書)、『凄母(すごはは)』(東洋経済新報社)など、当事者にとっては耳が痛いキャリアの真実を発表し続ける佐藤留美さんからの情報をもとに、プレジデントウーマン編集部で構成しました。
この話は、金融系に限らず、多くの日本企業で起こることです。もともと日本では「女性は4年制大学を出たら就職先がない」と長らく言われていました。そうした風潮が崩れ女性の大学進学率が短大のそれを上回ったのが1996年。彼女らが世に出たのは2000年前後。そのころから企業の女性総合職採用も少しずつ増え始めました。
とすると、多くの企業では、課長適齢期にあたる年代の女性は、まだほんの少数しかいないのです。現実を考えずに、政府やマスコミの風潮に流され、女性管理職を増やすと、こうした問題が起きるということでしょう。
▼このタイプの会社CHECK LIST
□業界の横並びを強く意識する
□許認可等で行政に頭が上がらない
□「斬新」より「着実・安定」を重視
□IRや経営目標でも数字を重視
□取引は「情」より「理」を優先
3つ以上あてはまったら要注意!