2017年はどんなテーマが注目されるのか。政治、働き方、流行の3分野の専門家に予測を聞いてみました。

トランプショックが日本に与える影響は

まずは政治の動きから。国際政治学者の三浦瑠麗さんは、1月に米大統領に就任するドナルド・トランプからの防衛費負担増要請が大きなテーマと見ています。

現在、5万人以上の米兵が日本に駐留しており、その経費の約7割、7600億円(16年度予算)を日本が負担しています。

「トランプは、自国で減税やインフラ投資など財政出動を行うために、日本には防衛費の負担増を求めてくるはず。しかし財政難でありながら同じく財政出動したい日本は、それにどう対応するのか心配」(三浦さん)

日米関係は、米軍をめぐる問題では、安保条約、日本国憲法の改正の議論や、自衛隊など国防問題という日本の国のあり方そのものや、財政問題、経済にも大きく影響するので、目が離せません。

私たちの社会や働き方はどうなるでしょうか。女性の働き方や少子化に詳しく、政府の審議会でも提言を重ねてきた、「働き方改革実現会議」の民間議員を務める白河桃子さんは、17年は「日本で初めて、時間外労働の法的上限が政府の会議にかかる注目の年」といいます。

日本では長らく、仕事優先の長時間労働が常識で、事実上は、無制限の残業が放置され、子育てや介護を含め、個人の時間より会社の仕事を優先することが評価されがちでした。それが女性の働きにくさや少子化にもつながっていたわけですが、「IT化やテレワークで生産性が上がると、さらに仕事が増えてしまう。そろそろ私たち自身の生活を企業や労働から『取り戻す』とき」と白河さん。「毎日何時間働いて、時間当たりいくらの給与をもらっているのか、それは適正なのかなど、一度記録をつけて、自分のワーク・ライフ・バランスを考える年にしてほしい」(白河さん)