【グラットン】3つ目の無形資産は、変身資産です。ここで大事なのはまず、自分を理解するということ。私は自分でじっくり考える時間を持つようにしています。じつは、2017年の6月に結婚します。これからどのように人生を築いていくかということを、いまちょうど考えているところです。

【佐々木】おめでとうございます!

チェンジウェーブ代表 佐々木裕子さん

【グラットン】変身するためには、多様なネットワークを保っていることも必要です。私はさまざまな年齢層の人と交わるようにしています。30代の友達も、80代の友達もたくさんいますよ。

【佐々木】多様なネットワークによって、さまざまな刺激をもらうということですね。ちなみに人生が100年になることは、特に女性にとってどのような意味を持ちますか?

【グラットン】人生が90年、100年となれば、長い人生の間にいろいろなことができるので、基本的には良いことでしょう。けれども一つ、男女で大きな違いがあります。男性にとっては、人生が長くなればすべてのステージが等しく長くなる傾向があります。一方で女性の場合、子どもを産める時期は大きく変わりません。早く子どもを産んでおかなければ、という女性特有のストレスは減らないかもしれません。

男性が家族を養うというモデルはもう成り立たない

【佐々木】日本では第1子の出産の後に仕事を辞める女性がまだ6割ほどいます。

【グラットン】それは大きな課題だと思います。30歳で子どもを産んだとすると、その後の人生はとても長い。良い仕事ができることは、女性にとって幸せなことです。国によってやり方は違いますが、母親が安心して子どもを育て、それと一緒に仕事を続けられる環境をつくっていくことが大切です。

それには政府の支援で、保育所などを充実させたり、子守りをしてくれる人材が増えるよう、労働市場を開放したりする必要があります。

企業もすべきことはあります。日本の組織は、女性がワクワクして働けるよう、また出産後「早く仕事に戻りたい!」という気持ちにさせるようにするべきでしょう。現状では、女性があまりおもしろくない仕事に回されるという話も聞きます。

【佐々木】確かにそういう面はまだあります。

【グラットン】こう考えたらどうでしょう。100年ライフを経済的な視点から見ると、男性が一人でお金を稼いで100年間、家族を養うのは難しくなる。もしそうなれば男性のストレスはすさまじく、日本の男性はかわいそうです。経済的な責任を分担するのは、男性にも女性にも必要なことです。