天才は特別なものではなく努力を続けてきた結果

【茂木】我々からすると、まさに澤さんのような“体が動いちゃう”というのがひとつの理想なんですね。悩んでいる時間って実はあまり生産的じゃなかったりするわけですよ。AにしようかBにしようかとか、どう生きようかとか。そんなことよりは、とにかく目の前のことをやって、動いたほうが自然と答えが出たりするじゃないですか。

【澤】私が何かをするときは自分ですべてを決めるんですね。悩んでいる時点でやりたいはずなんですよ、絶対。だってやりたくなければ悩まないじゃないですか。ですから私は失敗してもいいから、とりあえずやってみる。なんでもやってみるというスタンスでずっときました。あのときやれば良かった、と後悔したくないですから。

【茂木】悩んだときにはやったほうがいいという話をしたときに、恐らくそれは澤さんが特別な存在だからできるんだ、と思う方が多いと思うんです。でも、ダーウィンによると、天才とは特別なものではなく、ただ努力を続けてきた結果なんですよ。澤さんがアメリカに行かれた20歳のときは、自分のプレーヤーとしてのイメージとはどんなものだったんですか?

【澤】プレーヤーとしては10代からずっと日本でサッカーを続けていましたが、ある時期からできることが少しずつ増えてきて。そうすると世界のトップレベルのアメリカで、今自分がどれだけ通用するのかなという興味本位というか。自分を試したかったんですね。

【茂木】今から振り返ればやれるんだろうと思いますが、当時としてはかなり無理めの決断だったんですね。

【澤】当時としては全然です。自分がやれるというよりも、今まで自分がやってきたことをどれだけ出せるのかということと、女子サッカーのトップレベルといわれるアメリカのうまい選手のなかで一緒にやったら楽しいんだろうなっていうことだけで決めました。

【茂木】そこですね! 幼い頃から無理めのチャレンジを楽しめたんですか?

【澤】好奇心は旺盛でしたね。兄といつも一緒に遊んでいたので、けがはつきものでしたし。やろうと思ったことをすぐに行動に移してしまう子どもだったかもしれません。