――ビジネスの場における女性のファッションは、意外と難しい領域なのではないでしょうか。

そうですね。日本では、仕事着としての女性ファッションの歴史が浅いうえに、まだ限られたマーケットなので。でも、いろんなマーケットの中でも、働く女性の数と所得だけは増えるんです。

三越は日本で有数の長い歴史を持つ百貨店ですし、伊勢丹は「帯の伊勢丹」と呼ばれていたくらいですから、女の人のファッションを長きにわたって応援してきました。だからこそ、働く女の人に向けた提案を、もっともっとしていきたいと考えています。

――今日の石塚さんは、少し光沢のあるスーツで、上質でありながらきちんと流行を取り入れていてかっこいい! そんなファッションを選ぶには、どうすればいいのでしょうか。

紺のスーツが映える石塚さん。立川店長に決まったとき、「『明日何を着ていこう』と迷わないように」と服を買い込んだという。

手前味噌になりますが、三越伊勢丹には「シニアスタイリスト」と名づけられた販売員がいます。彼女たちは、商品についての深い知見と優れた接客力を持っている、選ばれた人たち。お客さまの要望に沿って、売り場を超えてお薦めする役割を担っている者も多くいます。

――そんな優秀な販売員のアドバイスがあったらうれしいです。一方で「買わされそう」と気後れするところも少しありますが。

そんなことありません。ぜひ、気楽に声をおかけください。

――最後に、働く女性たちに向けてのエールをお願いします。

これからは、ますます女性が活躍する時代です。私は「自分らしくあることが価値」だと思っています。その際、ファッションは表現手段として最も大切なもの。「こうあらねばならぬ」と考えすぎず、気楽にプロのアドバイスを受けながら、自分らしいおしゃれを磨き、楽しんでほしいと思います。