アーリーリリースが特徴のローズマウントを、20年近く熟成させると……?

「ローズマウント バルモラル シラー 1998」

さて、最後に「今回は特別にこれも飲んでみてもらおうと思って、ワイン博物館から持って来ました」とコミンズ氏が出してくれたのは「ローズマウント バルモラル シラー 1998」。20年近く熟成させたワインです。

「昨年末、博物館にあるワインをすべてテイスティングしました。個人的に、1998年は非常に良い飲み頃だと思います。フルーティーな良さと、熟成した年月の長さがよくマッチしていると自信があり、今回持って来ました。ローズマウントはフレッシュな若いワインを推していますが、熟成できないわけではありません。若くてもいいバランスのワインは、熟成してもいいワインだというのが私の考え。ぜひ飲んでみてください」

飲んでみると、フルーティーさを残しつつもヴィンテージワインらしい複雑でどっしりした味。貴重なワインに感謝しながらいただいたのでした。

「これは面白い、ワインに合う!」と参加者から驚きの声が上がっていたのがこの蕎麦。そばつゆの中に、コーヒーで作った氷を浮かべた氷珈琲蕎麦です。

今回、和食とローズマウントのワインを合わせてみて思ったのは、「フレッシュでやや酸味の強い白ワインと和食は、意外に相性が良い」ということ。特に鮎やマグロのお刺身とソーヴィニヨン・ブランは、想像以上においしい組み合わせ。逆に、ダイヤモンドラベルのシラーズや、GSMといった重めの赤ワインは、もっと濃い味付けの一皿と合わせると、さらに料理とのマリアージュが楽しめそうです。ワインの力強いおいしさに比べると、薄味な懐石料理は上品すぎるのかもしれない、と感じました。

料理ごとにワインを合わせて楽しむことはよくありますが、同じブランドのワインで揃えるということはあまりないと思います。しかし、同じブランドのワインを揃えて飲み比べてみると、造り手の哲学が感じられ、非常に楽しい! 機会があればまたこういう飲み方をしてみたいな、と思う、刺激的な試飲会でした。